世界崩壊後の近未来を舞台に、この世にたった一冊残った本を持って、ひたすら西へ旅をする男の姿を描いたSFアクション。なぜ西なのか? そして何が書かれた本なのか…!? デンゼル・ワシントンとゲイリー・オールドマン共演作。
『ザ・ウォーカー』作品情報 | cinemacafe.net
MOVIX宇都宮にて。
北斗の拳的な荒廃した世界を舞台に、本(お宝)を巡ってドンパチヒャッホーと騒ぐだけの話だと思ってたのですが、さまざまなスパイスを利かせて物語に奥行きを与えている非常におもしろい作品でした。内容としては日本人にはなかなか撮れない作品だったし、そもそもあまり受けそうにないなーと感じていたのですが、宗教に対してものすごく引いてみる癖のあるわたしにはとても興味深く映りました。
ノソノソとゆっくり話が進んでいくのかと思いきや、残された本とはいったいなんだったのか?ということがぼんやりと見え始めたあたりから物語が急加速して疾走していくところが刺激的でよかったです。
本作では水やシャンプーがまったくなくてみんな不潔だったり、食べ物すらまともにない世界で人々が生きる姿が描かれています。作中でも「昔はみんなが見向きもせずに捨ててしまっていたものを今は命がけで奪い合っている」という言葉が出てくるのですが、まさにモノがあふれてそれを当然と受け止めている先進国の現状を非難しているように感じられる部分も多かったです。
お前ら、そんなふうに生きてていいわけ?と言われているような気がしてちょっと居心地が悪く感じたのですが、それと同時に感じたのは結局人はどういう環境にあってもそれに適応して生きていけるのだということであり、ある意味人間賛美的な側面もあるということです。むしろこちらの方がわたしとしては強く感じた部分でして、それはたぶん本の存在や内容も関係していると思っています。
どれだけの絶望を抱えても生きていくことはできるというただそれだけのことに何だかとても明るい気持ちになれました。
あとちょっとネタバレになってしまいますが、映画の最後の方にわたしが先日行ったばかりのアルカトラズが出ていたのがとてもうれしかったです。
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