「曲がれ!スプーン」見たよ


クリスマス・イブ。とある喫茶店“カフェ・ド・念力”では、日頃は能力を隠しひっそりと暮らす本物のエスパー達が集い、自らの能力を思う存分披露し合うエスパーパーティーが開かれていた。一方、超常現象バラエティ番組のAD・桜井米(ヨネ)は、番組企画でエスパー探しに出発。視聴者からの情報を頼りに日本全国を旅して回るが、ひょんなことから“カフェ・ド・念力”にたどり着いてしまい、自分達の超能力がばれてはならぬ、と必死エスパー達。その上、偽エスパーの存在が発覚したからさぁ大変! 果たしてエスパー達は無事米を帰すことが出来るのか!?

『曲がれ!スプーン』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。長澤まさみ主演最新作。


期待どおり、2時間ずーっと小気味よく笑えるとてもおもしろい作品でした。監督・原作が同じである「サマータイムマシンブルース」が好きな人であれば、もう100%間違いなく楽しめる作品です。壮大にしようと思えばいくらでも話が広げられそうなネタを使いながら、実際にはすべて手の届く範囲にこじんまりとまとめてしまうあたりに「サマータイムマシンブルース」と同種の楽しさが感じられました。


また、何でもなさそうな設定や出来事が後々伏線だったことに気付かされるシーンが作中にいくつもちりばめられていることに驚かされます。特に、長澤の役名である「桜井米」をうまくつかった展開はすごくおかしくてしばらく笑いが止まりませんでした。
こういうどうしようもないというかバカバカしさを演出するために、緻密な設定を幾重にも積み重ねている部分には心底感心させられました。


さて。
本作主演の長澤まさみですが、作中での存在感は過去の主演作品と比べるととても薄く感じられました。ただし、それは決して悪い意味ではなくて、彼女をヒロイン的な役割に配置するのではなく、あくまで一人のAD,テレビ関係者という立ち位置に置いたことで彼女自身の放つ「信念をもってまっすぐな意思をもつ強さ」と「周囲を和ませる柔らかな空気」が自然と感じられました。この調子であればコメディも十分出来そうなので、これからはもっといろんな役に挑戦して欲しいです。



ちなみに超どうでもいいのですが、作品中で彼女は超常現象を捜し求めてあちこちを旅するわけですが、その途中で↑のような大きな荷物を引きながら歩く姿を遠まわしのカメラで写すシーンがあってこれがすごくよかったです。ファンの身びいきでしょうが、風景に溶け込む彼女のたたずまいは本当に絵になります。


そういえば、この作品を観に行って一番驚いたのが劇場の狭さです。
長澤まさみの主演作品なので2番目くらいには広いシアターでやるんだろうと勝手に思い込んでいたのですが、一番手狭なシアターで上映していてとても意外に感じました。実際、世界が壊れちゃう話や、面白くなかったらお金を返してくれる作品といった話題の大作がいくつか上映中なので大きなシアターはそちらに譲ったのでしょうが、実際に観てみるとこのくらいの広さ*1がこの作品の背丈にはすごくあってるんですよね。
決して大作ではないのですが、舞台劇を見ているような距離感がすごくよかったです。


長澤まさみの過去出演作品では1,2を争うくらいよい作品なのでもっとたくさんの人に観て欲しいです。


公式サイトはこちら

*1:席が93席でスクリーンが3.2×7.6mとシネコンにしては小さい部類に入るシアターです