そのときは彼によろしく

ささやかながらも美しい水草のお店を営んでいる青年・遠山智史(山田孝之)の前に、ある日突然スーパーモデルの森川鈴音(長澤まさみ)が現れる。違和感を抱きつつも智史は鈴音を店員として雇うが、なぜか鈴音には懐かしさも感じていた。それもそのはず、実は鈴音は、智史の幼き日の親友・滝川花梨だったのだ。再会を喜びあう智史と花梨だが、ふたりには会うべきもうひとりの親友がいた。ゴミの絵ばかりを描いていた画家志望の五十嵐佑司(塚本高史)だ。ふたりは佑司が画家になっているか確かめに行くのだが、再会した佑司は事故に遭い、こん睡状態だった。そしてときを同じくして明らかになっていく花梨の秘密。彼女に残された時間はあと僅かだった――。

http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=7840

TOHOシネマズ宇都宮にて。
不治の病にかかっているヒロインが好きな人(主人公)と残り僅かな時間を一緒に過ごす。これって「ただ、君を愛してる」と似てるんじゃね?とか思ってたら、原作者が同じ人(市川拓司さん)でした。なるほど納得。


というわけで、ストーリーはベタな泣かせ路線なのですが、そこはちゃんと覚悟していったので特に不満はありません。むしろ、どうしても許せないのが塚本君の出番の少なさ。トリプル主演みたいな雰囲気だったのに、気付けば他の二人に比べて圧倒的に出番が少ないのです。3人が仲良しって設定なんだから、大人になってからの3人揃ったところもちょっと見たかったです。
# 水槽の前で3人並んでいる画像があるのですが、あんなシーン無かったです


そうそう、水槽と言えばお店のシーンはどれもすごく美しくてこればかりは見てよかったと思えるシーンばかりでした。あの緑の映え方はある意味異常。「湖の底にいるみたい」という台詞がありましたが正にそのとおりです。これを見て水槽とか欲しくなったのは内緒です。「映画とか本にすぐに感化されるんだから...」とマコに呆れ顔で言われることが少なくないのですが、それに懲りずまた感化されました。
神童を見てピアノ弾きたいと言った日を遠い日のように思い出してしまいました。



もう一つ。幼少期を演じた3人はいずれもよかったです。成長した後の3人の面影が残っているような子を選んだのでしょうが、この人選は素晴らしいの一言。だって本当に子どもの頃のような映像なんだもん。
そしてこの3人の演技がまた上手い。↑で似てると書きましたが、単に似ているだけではないんですよね。だから本当に仲がいい3人組を見ているみたいで何かいいんです。あー、なんて書いたらいいのか私の語彙では表現出来ないのですが本当に好きなんです、この3人でいる時に出ている空気が。


そんな幼少期の中で花梨の誕生日をお祝いするほのぼのシーンは一番好きなとこ。ここはぜひ見て欲しいなと思います。他のシーンは寝てていいのでここだけは見てください。個人的にはこのシーンだけで料金はペイしました(笑)


細々とつっこみたいところもありますが、あえてそういった細部には目をつぶります。そうやってあら捜しをするよりは、作品のもつ雰囲気を楽しんだ方が絶対にお得です。私は結構好きです、この作品。


以下ネタばれ含みます。
市川さん原作の作品ってこれが二つ目ですが、何ていうか微妙にあるんだかないんだか分からない病気が好きな人なんですね。ただ君では「恋愛すると死んじゃう病気」(正しくは成長すると死んじゃう病気らしいのですが)、今作では「寝てしまうと二度と起きない病気」(こちらも正しくは一度寝たら植物状態になってしまう病気らしいです)でヒロインが若くして死んでしまうという憂き目にあってしまいます。
# 正確に書くと、今回は死んでないのですが...。


こうなってくると次はどういった病気でヒロインが死んでしまうのか気になって次もまた見てしまうことになりそうです。
# すいません。嘘です(笑)


それにしても長澤さんはこういうきれいな役柄が多いですよね。
世界のどっかでなにかを叫んだ時も「かわいいヒロイン若くして死んじゃった」という役だったし、涙そうそうの時なんて「にいにい想いの優しい妹、そして大好きなにいにいは...」というこれまた悲劇のヒロインでした。それ以外の作品を見てもキレイな役が多いんですよ。擦れた役どころが一切無いのです。
彼女自身のイメージもあるのでしょうが、小さい作品でもいいので、かわいい・キレイだけじゃないもっと幅広い役どころで出てきて欲しいなと思います。まだまだ若いんだし大物っぽく仕事を選ぶのはもったいないです。
もともと露出が少ないからそう思うのかな。。。


とか言いながらも、彼女の出演シーンを見て満足しているというのも事実なんですけどね。


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