「スペル」見たよ


銀行のローンデスクで働くクリスティン・ブラウンの前に現れたジプシー風の老婆。クリスティンが彼女の3度目の不動産ローンの延長願いをキッパリと断ると、老婆は態度を豹変。敵意むき出しに掴みかかる老婆に必死に対峙するクリスティンだが、死に物狂いの応戦も虚しく倒れてしまう。そして薄れゆく意識のなか、彼女は聞きなれない呪文のようなものを聞くのだった――。

『スペル』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。サム・ライミ監督最新作。


これだけ大々的にCMをうっているのでてっきり大作扱いなのかと思っていたのですが、予想外にB級ホラーのテイストがとても強くて、特に後半は怖いというよりもおかしいシーンが多くて笑いっぱなしでした。特に墓場のシーンはもう最高に楽しくて、ホラー映画を観に来ているということさえ忘れそうになるくらい面白かったです。婆さんすげーーー、とか、クリスティンやべーー、とか一人心の中で叫びながらの鑑賞でした。
いきなり大きな音や怖い映像を出して観客を驚かせるという手法が多く使われていて、それにびびりっぱなしだったわたしが言うのもなんなのですが、恐怖表現の加減がとても適量で不快にならない程度にドキドキするのを楽しめたし、早く次のシーンが観たくてしょうがなくなるほど作品の世界に引き込まれました。
こういうホラー映画だったらいくらでも観られるな。


本作の演出でとても感心したのが、不愉快さの演出がとにかくうまかったという点。
例えば、冒頭で老婆がローンの延長を申し出るシーンでは、老婆の汚い爪や手、そしてヌチャヌチャとした音と共に何度も開く口元が映し出されます。さらにクリスティンが席をはずした時には、彼女は入れ歯をはずして飴をなめるのですがこの時もとても清潔とはいえない歯をあらわにしたり文字ではなかなか表現出来ないくらい奇妙な擬音でその気持ち悪さを表現しているのです。
それ以外にもハエやヘドやウジ虫など、挙げればキリがないくらいあちらこちらに不愉快なものがゴロゴロと転がっているのですが、それが作品への不快感にはつながらず、むしろ世界観の構築をしっかりと担ってその役割を果たしています。この演出のさじ加減はとても絶妙ですばらしかったです


あと、アリソン・ローマンの「すごくかわいいんだけど何だか物足りなさを感じさせる顔」がいい具合に薄幸さを演出していてよかったです。婆さんのキャスティングにはかないませんが、彼女もとてもよいキャスティングだと思います。



写真だと伝わりにくいですが、劇場で見るとすごくきれいなんです。
こんなにかわいい子があんな目にあわされるなんて...と思いつつ、でも彼女の運のなさそうな表情を見ているとそんな目にあってしまうことさえ彼女にはふさわしいことのように思えてくるのです。


で、ひとつだけ不思議だったのは何でこの邦題なのかということです。
邦題が「スペル」だったのでてっきり原題をカタカナ表記しただけだと思っていたのですが、原題は「DRAG ME TO HELL」でした。
たしかにそのまま訳したら微妙な気はしますが、でもそれがスペルになっちゃうとそれまた微妙ですよね。


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