
- 作者: 道尾秀介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/06/27
- メディア: 文庫
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俺は私立探偵。ちょっとした特技のため、業界では有名人だ。今はある産業スパイについての仕事をしている。地味だが報酬が破格なのだ。楽勝、と思いきや、いつの間にか殺人事件に巻き込まれてしまった――。サプライズ・マジシャン道尾秀介が周到に張り巡らす読書の罠。見逃すな! 仕掛けは至るところに潜んでいる。
http://www.shinchosha.co.jp/book/300332/
アメリカの映画なんかを観ていると、誕生日やパーティのシーンが出てくることがあります。
そんな楽しい時間を過ごしている最中、突如誰かが「サープラーイズ」と大声を出してそれをきっかけに驚きのゲストやプレゼントが出てきて誕生日を迎えた人やパーティに呼ばれた人がびっくりさせられるなんてことがよくあるわけです。
こんな例を挙げるまでもなく、人は驚かされることを楽しいと感じられるし、心のどこかでそのような驚きというか刺激を求めているような気がします。そしてそれは読書にも言えることで、一般的にミスリード狙いの作品が好まれるのもそのような影響を受けているように感じます。
本書は紹介文にあるとおり、多少サプライズ要素のある作品でしてたしかに冒頭から感じていた違和感が回収されるラストは非常に気持ちよく読み進められました。本だからこそ出来る読み手の思い込みというか、想像力の裏をかくような展開はやり過ぎにならない程度に奔放に描かれていてその絶妙なバランスに感心させられました。
先日読んだ「向日葵の咲かない夏」よりはこちらの方が好きだし、ぜひサプライズ好きにはお勧めしたいです。