「あの歌がきこえる」読んだよ

あの歌がきこえる (新潮文庫 し 43-14)

あの歌がきこえる (新潮文庫 し 43-14)

意地っ張りだけどマジメなシュウ、お調子者で優しいヤスオ、クールで苦労人のコウジは、中学からの友だち同士。コウジの母親が家出したときも、シュウがカノジョに振られたときも、互いの道を歩き始めた卒業の日にも、三人の胸にはいつも、同じメロディーが響いていた。サザン、RC、かぐや姫ジョン・レノン……色あせない名曲たちに託し、カッコ悪くも懐かしい日々を描く青春小説。

重松清 『あの歌がきこえる』 | 新潮社


大学生の頃、というともう12,3年も前のことになるけれど、当時は音楽を聴くのが大好きで毎日毎日何かいい音楽がないものかと探してまわっていました。音楽雑誌を買ったりバイト先の近くにあったCD屋に足しげくかよったりしていて、暇があればCDを買いあさっていたのです。
そのおかげで6年間に及ぶ大学生活を終えたときには自宅には300枚以上のCDが残り、引っ越すときにかなり苦労したのもとても懐かしい思い出です*1


今でも当時聴いていた音楽を耳にするだけであの頃のことを思い出すし、すっかり忘れていたことですら音楽をきっかけにして不意に思い出してしまうこともあります。昔のことが思い出せないとか忘れてしまうなんてことは誰でも経験があると思いますが、実は記憶というのは決して消えることはなくて新しい記憶が増えることでその記憶を引き出すためのリンクがなくなってしまうだけなんじゃないかとわたしは思うし、それは、音楽を聴くことでその音楽を一番聴いていた当時のことをいろいろと思い出せることが何よりの証拠ではないかと思うわけです。


本書は一人の少年が過ごした小学生から高校卒業までを描いた作品であり、小中高それぞれのある瞬間ある瞬間を切り取ったものが短編としてまとめられています。そしてその短編それぞれには当時流行っていた音楽が絡めめられて描かれています。
成長に伴って変わっていく音楽の嗜好の変遷もすばらしいし、また、音楽が時代背景をものの見事に形容しているのです。
この趣向はとても効果的で、懐古主義的なわたしにはとてもたまりません。
本書はかなり昭和真っ盛りな時代のお話なので、曲や時代背景そのものが直接わたしのそれとリンクすることはありませんでしたが、これを読んでいたら昔聴いていたCDをまた聴きたくなりました。


チョーかわいかった頃のマライア・キャリーでも聴こうかな。

*1:当時はどうやって処分しようか本気で困っていたので、懐かしいだなんて過去を美化し過ぎ照るなとわれながら呆れてしまいますw