パッセンジャーズ


飛行機事故で奇跡的に生き残った5人の乗客。セラピストのクレア(アン・ハサウェイ)は、彼らの記憶から浮かび上がる数々の謎を解き明かそうとする。だが、事故の核心に近づくたびに5人の生存者が次々と失踪し、彼女の周辺でも不可解なことが続発し始める。錯綜する現実に翻弄され、自分さえも見失ってしまうクレア。これは偶然か、それとも仕組まれた罠なのか…!? 彼女だけが知らなかった驚愕の真相とはいったい――!?

『パッセンジャーズ』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。待望のアン・ハサウェイ最新作。
ゲット・スマート以来、約半年ぶりの彼女の新作なので一ヶ月くらい前からかなり楽しみにしていました。あまりに楽しみにし過ぎて、久しぶりに公開初日に張り切って観に行こうと思ったほどなのですが、観終わってものすごくがっかりしてしまいました。ネタをばらしてしまうことになるので詳しくは一切書けないのですが、個人的には一番許せないパターンの作品でした。観ていた時間を返してくれと叫びたくなったのは本当に久しぶりでして、滅多に怒らないために「歩く大仏」と呼ばれているわたしですがこれは怒らずにはいられません。こんなに愕然とさせられたのは伝染歌以来です。もう勘弁して欲しいです。
(よく言えば)意外性あふれるラストは、とある有名な作品と酷似しているのですが、その作品が受け入れられている現実を見る限りではもしかしたら大多数の人にとってはさほど嫌いなパターンではないのかも知れません。それでもわたしはこのラストに断固怒りを表明したいと思います。


もちろん誰にもお奨めしませんが、「アン・ハサウェイの姿が観られるのであれば明日死んでもいい」くらい彼女のことが好きな人だったら観てもいいんじゃないでしょうか。そこまでの熱意がないなら観ない方が幸せです。


公式サイトはこちら


[追記]
何だか収まりがつかないので、ネタバレを含めてもう少し書こうと思います。


まずネタバレを書いてしまうと、"アンも実は墜落した飛行機に搭乗していた被害者であり、この作品で描かれている世界は彼女が自身の死に気付き、それを受け入れるために作られたものでした"と内容でした。
「彼女が自然に死に気付いて受け止められるように、自分の大事な人たちが迎えに来てくれていた」というところが感動ポイントのようでして、たしかに真実が分かって以降に後ろの方から地鳴りのような嗚咽が聞こえてきたのでたぶんグッと来る人もいたのだろうなということは想像出来るのですが、わたしは涙とか感動ではなく怒りしかわいてこなかったのです。
で、帰ってきてからいろいろと考えたのですが、こういうのはスピリチュアルみたいなのを自然に信じられるような人には受けるんじゃないかなと思うのです。自分の目で見たわけではないし何か明確な根拠があるわけでもないけれど、でも自分自身の価値観と照らし合わせた上で信じたいと思ったことは何が何でも信じられるような人に向けられた作品なのだろうと思います。


なぜここまでこの作品にむかついたのかといえば、途中まではさまざまな伏線が張られていてとても緊張感のあるいい作品だったのに、気がついたら夢オチみたいな安っぽい終わりになってしまったことに対してだと思います。
「誰も予想できないラスト」とか、「結末の予想的中率○%」とか言うけれど、単に意外にすればいいというものではないというのはいい加減学んで欲しいです。ラストの意外性はたしかに大事ですが、それで作品そのものを台無しにするのは本当によくないことだと思うのです。やりすぎた意外性は単なるストーリーの破綻、もしくは論理の飛躍でしかありません。


上にも書いたとおり、途中までは非常に面白かっただけにとても残念でした。