西の魔女が死んだ


西の魔女が死んだ」。その報せを聞いて、中学生のまい(高橋真悠)とママ(りょう)は急いでおばあちゃん(サチ・パーカー)のもとへ向かう。“西の魔女”とはママのママ、イギリス人で日本の田舎に一人で住むおばあちゃんのこと。中学校に入学してすぐに登校拒否になってしまったまいは、大好きなおばあちゃんのもとでともに生活を始め、日常生活の手ほどきを受けたのだった。おばあちゃんがまいに教えてくれたことは、「何でも自分で決めること」だった。喜びや希望、もちろん幸せも。しかしある出来事がきっかけで、まいはおばあちゃんとの間にしこりを残したまま、おばあちゃんの元を離れる。そして2年後届いた悲しいお報せ――。梨木香歩原作の大ロングセラーの映画化。

『西の魔女が死んだ』作品情報 | cinemacafe.net

宇都宮ヒカリ座にて。
イギリス人の祖母と暮らした一ヶ月あまりの田舎生活と別れを描いた作品。
とても地味な作品だし、公開から2ヶ月以上経っているので今更観に行く人は誰もいないだろうと思っていましたが、その予想に反して30人ほど(いつもは多くても両手で足りるくらい)入っていて一体何があったのかとおどろいてしまいました。たしかに原作はかなりの人気みたいなので好きな人がいてもおかしくないんだけど、そんなにか...。


見終わっての感想は、原作にとても忠実だということです。もちろん細かい台詞回しなどまで同じかどうかは検証していませんが、作品のもつにおいや空気はとても正確に表現されていたように感じました。配役やおばあちゃんの家がある場所の撮影地である山梨県北杜市はイメージに近くてとてもよかったし、映画化としては成功したと言ってもよいのではないかと思います。


そういえばおばあちゃんの家が一般公開されているそうです(こちら)。
かなり遠いのですが見てみたいなー。


この作品の中でわたしがとくに好きなところは、非日常が日常に変わっていく様子がとても丁寧に描かれているところです。
おばあちゃんの家に住んで暮らすという、非日常的な出来事が日を追うごとに徐々に日常に変わっていく様子がまい(主役の女の子)の振る舞いから感じられました。人間はどんな環境であっても適応していくし、ましておばあちゃんと過ごす楽しい環境であれば水を吸うスポンジのようにどんどん周囲の慣習を吸い込んで溶け込んでいくのだという実感を感じられました。



ちなみに、上記の紹介文にあるとおり、この作品は上の梨木香歩さん原作の小説を映画化したものでして、私も2年ほど前に呼んだ記憶があります。当時はまだブログに本の感想を残していなかったので感想がどのようなものだったのかはっきりとした文章では残っていませんが、本屋で強く推薦されているほど面白いとは感じませんでした*1
ですが、この映画版を観たときに小説を読んだときに感じた物足りなさが埋まったと感じました。それは文章だけでは見えてこなかった部分が映像で補完されたためなのか、それとも映画版の出来がよかったのか分からないのですが、両方見て初めてこの作品の本当の魅力に触れられたような気がしました。


西の魔女が死んだ (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)


公式サイトはこちら


*1:近くの本屋でナツイチをやっていたのですが、そこで一番人気として紹介されていたので読んでみたのです