「ボーイズ・オン・ザ・ラン」見たよ


田西敏行(峯田和伸)、29歳。ガチャガチャを取り扱う小さな会社に勤務している、ウダツの上がらない営業マン。同僚の植村ちはる(黒川芽以)に想いを寄せながらも、何の行動も起こせないまま時が過ぎていたが、彼の平凡な日常は、少しずつ変わろうとしていた――。「ビッグコミックスピリッツ」にて連載された人気漫画の映画化。

『ボーイズ・オン・ザ・ラン』作品情報 | cinemacafe.net


作品の内容に触れている部分がありますのでご注意ください。


MOVIX宇都宮にて。
ものすごくパワフルでありながら、青春っぽさというか甘酸っぱさにも満たされていて、ただ映画を見ているだけの私も恥ずかしさに思わずモゾモゾと身もだえしてしまうような微笑ましい一面と、場面が変わるたびに心の根っこからへし折られてしまいそうな鬱展開が繰り広げられるためにそれによって心がポキンと折れないように常に歯を食いしばって耐える事を強要されるというおそろしい一面を持ち合わせた、鑑賞後に強烈なインパクトを残す作品でした。
めまぐるしく変わる局面でこみあげてくるさまざまな感情に影響を受けまくったわたしの心は、鑑賞後には元の形が分からないほどに変形させられていることがとてもよくわかりました。エンドロールで流れる歌を聴き終わった後もわたしはしばらく立ち上がる気になれないほど強烈に打ちのめされたのでした。
原作は未読ですが、きっと原作も相当すごい作品に違いありません。今度読んでみようと心に決めました。


この作品を観ていてとてもおもしろいなと感じたのは、先の展開に対する前振りの挿入の仕方がとてもうまかったという点です。
例えば、青山が田西の食べているカップ焼きそばを見て俺も食べたいと一口もらうシーンがあるのですが、そこで青山は「人が食べているものは食べたくなる」「一口だけだからいいんですよ」という発言をするのです。これは田西が想いを寄せるちはるを寝取ることになる彼の行動を暗に示したものであると同時に、その彼の発言の真意に気付かない田西の鈍感さを強調するエピソードにもなります。
このように観る側に自然と先の展開に対する予感を埋め込んでおくという演出の上手さがとても印象的でした。


駆け抜けるように過ぎ去っていった2時間の上映時間のことを思い出すと今でも鑑賞したときの興奮を思い出すことができます。
今最も観るべきすばらしい作品だと断言します!!


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