企業でWikiを活用する方法

 Wikiは、Web上でコンテンツを共有したり共同で編集したりする手段を提供する。従業員のチームワークとコミュニティを促進するとともに、電子メールの量を削減するためにWikiを利用し始めた企業もある。

 しかし、単にWikiを社内ネットワークに導入するだけではだめである。導入プロセスを容易にし、導入の失敗のリスクを最小限に抑えるために、事前に適切な手段を講じる必要があるのだ。導入を成功させるには、以下の3つのステップを実行しなければならない。

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非常に局所的ではありますが、私は業務をする上でWikiを活用しています。実際には上記のような工夫はほとんどせずにいるのですが、それでも用途や使い方次第で十分活用することが出来ます。それについて書いてみようと思います。


まずインターネットに目を向けてみると、Wikipediaといえばある程度の認知度というか、多くの人に活用*1されているなという印象があります。ところが、この仕組みは社員同士の情報共有に使えそうだ...とそのまま導入してもうまくいかないことがほとんどです。不特定多数が使う分には便利なのに、仕事でも同じように活用するとなるととたんに壁が高くなるのはなぜでしょうか?


ひとつめの理由としては、CMSを使った場合のメリットがしっかりと伝わっていないということです。使った場合のメリットが分からなければ誰も使うわけがありません。当然といえば当然です。


ではインターネット上で使われているWikipediaがなぜあれだけの情報を集められるのかというと、Wikiは便利なんだということを理解している知識層がすでに一定数(そしてそれは十分な数なのですが)存在するからです。
対して社内で利用する場合には、CMSのメリットを熟知している人が多く居ることは必ずしも保障されていません。むしろCMSのメリットを理解していない人がほとんどですから、情報も集まらないし使う人もいないしであっという間に風化してしまいます。
ですので、CMSを導入するに当たってCMSがどういうものなのかというのを多くの人に理解してもらう必要があり、その理解をとおしてCMSの有効性を多くのメンバーが共有する必要があります。メリットがあるよというのを実感をとおして理解してもらえれば、成功は約束されたようなものです。


ふたつめの理由として構文や使い方を覚えないといけないということが挙げられますが、実はこれは大した問題にはなりません。
というのも、CMSの有効性が伝わっていればこの部分は瑣末な部分でしかないわけですし、最近は入力支援が豊富なCMSもあるようですから使い方を学ぶのにかかるコストはそれほど高くないといえます。


みっつめの理由は閲覧者からの反応が見えにくいということです。
何のことかというか、例えば何か情報を発信する場合にそれを継続して続けたいと感じるためには見ている側からの反応が欲しいところですが、CMSは閲覧者の反応が非常に見えにくいです。そのため、継続する意欲がわきにくく更新がされず、結果誰も使わなくなってしまうのです。


上記3つの理由により業務で情報共有するためのツールとして使う場合にはちょっと使いにくいのです。


そこで私は以下のように活用しています。

    1. 属人化されてしまったシステムノウハウをドキュメント化して公開する
    2. プログラム知識など学習したことをまとめて公開する
    3. やりとりの経緯をドキュメントにまとめて公開する


もう少し掘り下げて説明します。


属人化されてしまったシステムノウハウをドキュメント化して公開する

まず属人化されてしまった...というところですが、担当業務が細分化されていくと業務知識の範囲も細分化されてしまいます。それ自体はまったく悪いことではないのですが、担当がいないと何も進まないという弊害を生む悪い面をもちます。
わたしの場合もこの例にもれず自分しか知らないことがどんどん増えてしまいました。それが心底嫌だったので、私がいなくても何とかなるようにすべての業務知識をまとめてドキュメントにしました。


こうすることのいいところは、以下の3点。

    • 自分の知識を体系的にまとめておける
    • 必要に迫られて読んでくれる人がいる
    • 引き継ぎなしで辞められる


個人的には引継ぎなしで...というのが一番大きな理由かな。

プログラム知識など学習したことをまとめて公開する

せっかく勉強したことなんだからあとから思い出すために使えるように残しておきたいということを目的に作っています。
例えばたまにしか使わない開発ツールのデバッグ方法やサンプルスクリプトとかはまとめておくと便利です。


やりとりの経緯をドキュメントにまとめて公開する

分かりにくいかも知れませんが、これはメール代わりにCMSを使おうということです。
何か情報をやりとりするときに、メールだと宛先からもれると情報が届きませんし、あとでメールの送信履歴からもれた人に再送するのも何だか面倒です。
また、メールだとその瞬間のやり取りは明確ですが過去のやり取りは一見不明瞭です。もちろん全文引用していればよみかえすことで全体がわかる場合もありますが、それだってやり取りから経緯を類推するという不正確さは残るわけです。


その点CMSでまとめておけば、そこを見るだけで疑問はぜんぶ解決しちゃうわけです。
あとから観た人でも経緯や全体像をつかめるようにCMSまとめサイトを作っておくというのは非常に有効です。



以上がわたしの活用方法ですが、加えて私が大事にしているのは、基本的に書くのは私だけだということと、誰からでも見られるようにするということです。
無理やりつかってもらって集合知を作るのではなく、まずはどういうものかを周知するというところを重視しようというのが核です。


本当はもっと具体的な例を挙げたいのですがもう眠いのでそれはまた今度。

*1:大部分は参照でしょうが