秘密のひととき

秘密のひととき (集英社文庫)

秘密のひととき (集英社文庫)

ちょっと不思議なショートストーリー集。
一つ一つのストーリーがとても短いのでちょっとした空き時間にもサクサクと読めます。非常に手軽でよかったです。


赤川次郎の作品を読むのはとても久しぶりで、たぶん去年の夏に帰省した時に読んで以来だと思います。
私が小,中学生の頃、母が赤川次郎が大好きで文庫が家の本棚には山のように置いてありました。それに感化された私も三毛猫シリーズなどを自分で買ってきては本棚に並べていたおかげで、今ではかなりの量になってしまいました。
たぶん1996年くらいまでに文庫になっている分はほぼ全部あるんじゃないかと思うくらい大量にあるものですから、帰省して暇でやることがない時は寝転がってこれらの本を読み返すといい暇つぶしになるのです。


そんな思い出話はいいとして、この本を読んでいてふと説明が多いことに気付きました。
何のことかというと、なにか事件や事象に対するネタばらしがあったときにそれに対する説明が非常に仔細に書かれているのです。そのことは内容が分かりやすいというメリットに直接的につながっているのですが、個人的にはその程度が過剰だなと感じたのです。
分かりやすさというのはネタのすべての詳細を記載していることで得られているわけですが、つまりは読者側の想像が入り込む余地は非常に少ないわけです。完全な回答が本の中に出ているわけですから読者が出来ることといえばそれを理解することそれだけなわけです。


私は読後もその内容を頭の中で反芻させるのが好きなので、このようにすべてのネタばらしを細部にわたって書かれることはあまり好みではありませんが、本を読んだ後に一つも謎は残しておきたくないと人にはとてもお奨めできる一冊です。