不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書)
- 作者: 河合太介,高橋克徳,永田稔,渡部幹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/01/18
- メディア: 新書
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同じ職場で働く者同士。出来れば、仲良く楽しく互いに刺激を与え合って働きたいと思うのは決しておかしな事ではないと思います。
少なくとも互いの粗探しをしたり、足を引っ張り合ったりするような環境よりは上記のような環境の方が魅力的だと感じます。
本書では、職場の雰囲気がよくならない理由や協調性が取れなくなってきている理由について説明し、そのような状況を克服するために努力しているいくつかの企業の実例を紹介しています。
集団主義から個人主義への意識の変化や、効率化やコスト削減に伴い社員同士の交流の場が消滅したことの弊害。終身雇用の崩壊に伴って人材の流動性を高くなり、互いを深く知るチャンスが減った事による影響。職場がうまく機能しない原因をこれらのネタを元に説明していて非常に分かりやすく、面白かったです*1
本書を読み終えて、うまく周りと協業出来る環境を構築するためのポイントとして一番に上げたいと感じたのは「ギブアンドテイク」の精神を忘れないことです。
周りを見ていると、いかに自らが損をしないように立ち回るのかという事に気を遣っている人が非常に多いように見受けられます。
だから何か頼まれても自らの利益にならなければ応じません。
つまり自らの利益があって初めて相手へのギブを検討するという状態なのです。
例えば。
2者間で頼みごとをやり取りする場合に、この考えを一方だけが持っているうちは何とかなります。つまり、一方が先に相手へギブすれば、それに応じる形でもう一方もギブしてくれるからです。
ですが、もし両者共に先に相手側からのギブを要求したとすればこれはこう着状態を生み出します。データベースでいうところのデッドロック状態です。
こうなってしまうと、何か一つ仕事を頼むのも大変でして、いろんな仕事が全く前に進みません。
この時点でこの職場で発生している問題は大きく2つ。
-
- ちょっとした仕事を頼むのも大きなストレスとなり、他の業務にも影響が出る
- 仕事が進みにくくなる
些細な仕事にも時間がかかるようになったり、メンバーがストレスに負けて倒れてしまう事は、頼みごとをし合っている2者間の問題だけではなく職場全体の問題に昇格されます。
これが今私が感じている自分自身を取り巻く環境の問題点だと思います。
これを解消する方法はただ一つ。自ら進んでギブすればよいのです。
ギブが必要な相手には見返りなんて考えずにとにかく与えてあげればいいのです。それが出来れば職場の雰囲気は絶対に変わります。
この時に注意すべきは2点。
一つはこれからも与え続ける事を前提としないこと。
このようにとにかく与える事の役割は、職場内の凝り固まった関係を自らが潤滑油となってほぐす事です。この役割は見て分かるとおりかなりしんどいです。なので、一時的には出来たとしてもこれを続ける事は絶対に無理です。
なので、あくまで一過性のものであることを明確に伝えたうえで対処すべきです。
そして注意すべき点のもう一つは与える事の楽しさを伝える事です。
よほど尊大な人でなければ、誰かの役に立つ事を実感した時はすごく嬉しい気持ちになると思います。「ありがとう」や「助かったよ」というお礼の言葉をもらえればもう何もいう事はないのですが、そこまでいかなくても、誰かの役に立っていると思うだけで満たされるものです。その気持ちを相手に分かってもらえれば与える事の楽しさを実感してもらえると思います。
じゃ具体的にどうするのかと言えば、とにかく気持ちを伝えるのです。
相手に何か頼みごとをした時とか助けてもらった時には「ありがとう」と伝える*2なんてのはすごくいいと思います。
働く人は、人生の1/4〜1/5以上は仕事をして過ごすんだそうです。
そんなに長い時間を過ごす職場ですから、もっと快適になって欲しいなと願うのは当然です。願うだけではなく、少しでも快適な職場環境を実現するために、また明日から頑張ろうと思える一冊でした。