Sweet Rain 死神の精度


常に白い手袋をし、音楽をこよなく愛し、暇さえあればCDショップの試聴コーナーで音楽に酔いしれる千葉(金城武)。そんな彼は死神。7日間の観察期間の後、人間の不慮の死を“実行=死”か、“見送り=生かす”か判定するのが彼の仕事である。そして今日も雨の中、新たなターゲット、苦情処理係の27歳・藤木一恵小西真奈美)を、彼は待っていた――。主演に、金城武を迎えた、人気作家・伊坂幸太郎の同名小説の映画化作品。ピュアな心を持つ死神が死の判定対象となる人間とともに7日間を過ごし、最後の審判をするというファンタジー

『Sweet Rain 死神の精度』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。
様々な方法で「その人が死するに値する人間かどうか」を判断し、生かすのか殺すのか決めているという死神が主人公の作品。この作品では大きく3つの章から構成されていて*1、それぞれで一人ずつ「実行」か「見送り」かを決めるのですが、この3章が独立しているようで実は緩やかに繋がっており、それに気付いた瞬間の腑に落ちた感がとても気持ちよかったです。
生死を司る何者かからこの世を見たらどう見えるかというテーマもとても面白いと思いますし、構成も上に書いたとおりすごく工夫されていて非常に良かったです。


それと、金城さんの朴訥な演技は死神の浮世離れした佇まいを連想させてくれてすごくマッチしていました。
彼演じる死神は、その人間が死に値する人間なのかどうかを見極めるために面接をするのですが、それとなく相手の死生観を聞き出して判定を下す情報を集めるシーンがとてもよくて見ていて気分が高揚しました。
鬼武者以来のはまり役だと思いましたし、説得力のある役柄だと感じました。



一点だけ気になったのは、小西さんの歌は止めておいた方がよかったんじゃないかという点。
決して貶すわけではなくて、全然下手ではないですし曲もすごくいい曲だと思うのですが、小西さんにはそういった方向に進んで欲しくなかったというささやかな願いです。
曲を出せば売り上げだって気になるでしょうし、評価だって気になると思います。そんな女優とは違う余計なところに力や注意を分散しちゃうのってもったいないと思うんですよね。


そんな私の戯言は置いておくとして...。


「あなたにとって死とは?」と尋ねる死神に対して、人が死ぬという事は当たり前の事だし誰にでも訪れる凡庸な出来事だけど、でも死んでしまう当人や周囲の人にとっては大きな出来事だし当たり前と受け入れるのはなかなか難しい、と、とある登場人物は答えました。そして、それを当たり前と言い切れるのはあなたが死ぬ事のない死神だからともいいました。
所詮、死を自らのものと実感出来ない人の言葉だという意味なんでしょうが、たしかに死を遠くない未来に起こり得る現実として受け入れていたら、死ぬのは当たり前とか死ねなんてそう簡単には言えないものなのかも知れないと思いながら映画館をあとにしました。


公式サイトはこちら

*1:章仕立てと明確に分けられているわけではなくて、判定対象が変わるとシーンも時代も大きく変わるので分かりやすく章と表現しました