「起終点駅 ターミナル」見たよ


北海道の旭川で裁判官として働く鷲田完治(佐藤浩市)のもとに、学生時代の恋人・結城冴子(尾野真千子)が被告人として現れる。彼女に執行猶予付きの判決を与えた完治は裁判後、冴子が働くスナックに通い逢瀬を重ねるようになるが、かつて愛し合った男と女の再会の時間は限られていた。2年の北海道勤務を終え、妻子の待つ東京へ戻る日が近づいていた完治だったが、彼はすべてを捨てて冴子と共に暮らしていこうと決める。けれど、冴子はその想いに応えることなく完治の目の前で自ら命を絶ってしまうのだった。 それから25年。完治は誰とも関わることなく釧路で国選弁護人としてひっそりと生きていた。それは まるで愛した女性を死に追いやってしまった自分自身を裁き罰を課すようでもあった。そんなある日、弁護を担当した若い女性、椎名敦子(本田翼)が完治の自宅を訪ねてくる。ある人を探して欲しい という依頼だった。個人の依頼は受けないと心に決めて生きてきた完治だったが、家族に見放され 誰にも頼ることなく生きてきた敦子の存在は、ずっと止まったままだった完治の心の歯車を少しずつ 動かしていく。敦子もまた完治との出会いによって、自分の生きる道を見出していくのだった。

『起終点駅 ターミナル』作品情報 | cinemacafe.net


本田翼目当ての軽い気持ちで見に行ってきましたが大やけどしました。
帯広、釧路の美しい風景はたいへんすばらしかったのですが、起きた事象を点々と描いているだけでどのシーンもつながりが感じられなくて話が盛り上がらないし、加えて演出があまりに空々しくて見ていて白けた気分が1秒も抜けませんでした。話がつまらないというのが一番ダメなポイントですが、そう感じる原因は話の展開させ方とか各シーンの見せ方がとにかく残念過ぎるのです。

ひどい....。もう全体的にひどすぎます。


本作はさかのぼること25年前から始まります。

当時旭川で裁判官として働いていた鷲田は、違法薬物を所持していた人の裁判に立ち会った際に被告が昔の恋人の結城であることを知りおどろきます。鷲田は意図的なのかどうかはわかりませんが彼女に執行猶予付きの判決を与え、その後彼女が営むスナックに通うようになるのですがあっという間に体の関係をもつようになります。

鷲田はそのときすでに結婚していて妻と4歳になる息子を東京において単身赴任していたのですが、そんなことなど一切気にかける様子もなく秒殺で元カノと不倫を決め込むあたりに何やら深い闇を見たような気がしました。単身赴任先での浮気なんてそりゃバレないでしょうけどそれにしたってこういうときにはもうちょっと葛藤が生まれるもんじゃないの?と思いつつ、でも夫婦仲が冷え込んでいたらそういうもんなのかも知れないなと最後には妙に納得してしまいました。

そんなこんなで元カノと定期的に逢うようになった鷲田ですが、東京高裁への転勤を命じられたことをきっかけにして裁判官をやめて元カノと町を出て二人で暮らすことを決意します。ここであらかじめ書いて起きたのですが、この作品ではすべての出来事が前振りなど一切なく突然起こります。

その唐突さによって物語は破壊されてよくわからないものへと形を変えることになるのですが、おそらく「原作読んでる人ならわかるでしょ」的な甘えがこういうことを許してしまったのだろうと思います。とにかく話が突然別の方向に舵を切ることが多く、そのたびに頭の整理が一気に大変になります。

話を戻して、鷲田は裁判官として順当にキャリアを積みつつ何不自由なく仕事に打ち込んでいたはずなのに、急に仕事を辞めたうえに離婚までして元カノとくっついて別の町に住むことを表明するという人生の方針を大きく変更することを選ぶのです。観ている方としてはなぜ鷲田がその心境にたどりついたのか?そこまで方針を転換するに至ったのか?ということについて説明してほしい、理由を知りたいと思うわけなのですが残念ながら作中では一切語られることはありませんし何も伝わってきません。

ただただ唐突に変わってしまっただけなのです。


さらにいざ町を出ていこうとしたときになぜか元カノは彼の目の前で電車に飛び込んで自殺してしまうのですが、ここのシーンは言いたいことはそれとなくわからなくはないのですが、演出が微妙過ぎてその認識でいいのかどうか不安になってしまいます。


そして話は25年後へと飛んで現代が舞台となるわけですが、結局ここでもイベントは唐突に起きるだけでそれに対して納得できるだけの理由なり動機が提示されることはほとんどありません。時折差し込まれる釧路の憧憬に癒されましたが、もう大半が面白みの欠片もないシーンばかりで観ていて苦痛でした。


ギャラクシー街道とどっちがつまらないのか両方観た人に聞いてみたいです。


@TOHOシネマズ宇都宮で鑑賞