厳しい姐さんやお母さん、毎日繰り返される稽古稽古の日々に、めげそうになりながらも、美しい舞妓を目指して一生懸命頑張る少女・春子の姿を描く。
『舞妓はレディ』作品情報 | cinemacafe.net
「すごく有名な監督さんなんだけどその人の作品をあまり観たことがない」という人が何人かいまして、その一人が本作の監督をつとめている周防監督です。とくに避けているわけではないのですが、仕事が忙しかったり他の作品に気を取られている間に終わっていたりと何となく観るタイミングを逸してしまい、ほとんど観たことがないのです。
唯一観たことがある「終の信託」が正直微妙だったこともあってあまりよい印象がなかったのですが、この「舞妓はレディ」は何かすごく惹きつけられるものを感じたので観てきました。
本作は田舎から出てきて舞妓になるために日々がんばる女の子を描いたミュージカルです。
じつは観るまでミュージカルだということを知らなかったので観始めてから驚いたのですが(笑)、ストーリーは予告から想像した範囲に収まるくらいシンプルな内容でして、全体的にフォーカスがどこにあたっているのか分かりにくい部分もあってとっ散らかってるようにも思えたものの、最後にはきっちりときれいにまとめられていてすごくよかったです。
楽曲もダンスも非常にすばらしかったですし、たいへん満足度の高い作品でした。おもしろかったです。
本作の主役春子役を務めた上白石萌音さん(もねさん!)を初めて予告で観たときは「ものすごい田舎っぽい子だな」なんて思ったのですが、そう思ってしまった時点でわたしはこの作品の術中にはまっていたことに観終えてから気付いたのです。
ほっぺたが真っ赤で田舎っぽさ満載だった女の子がまさかあんなすごく舞妓らしい女の子に化けるとは思っていなかったし、そのギャップというか成長・変化の大きさを見た目で分かりやすく表現するための布石としてのあの田舎っぽさだったのかと感心させられました。もちろん田舎っぽさを出すための演出がうまかったのは当然ですが、それ以上にここまでの変化を見せられる素材としてのレベルの高さはこの子にしか出来ないものだったとつよく感じます。
周防監督がこの作品について「完成までの20年は、ヒロインを演じられる女の子に出会うための期間だった」とおっしゃっていたそうですが、作品を観たことでこの言葉の意味に深く共感できました。
ちなみにラストでは舞妓姿で躍動感あふれるダンスを見せてくれるのですが、かわいらしい見た目とは対照的な力強くてアグレッシブなダンスが本当にかっこよくてこのダンスシーンを観るためにもう一回観たいと思いました。
@TOHOシネマズ宇都宮で鑑賞
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