「WOOD JOB! 神去なあなあ日常」見たよ


明日の自分のゆくえも決めきれない高校卒業したての18歳男子。ひょんなことから生まれ育った都会から遠く離れ、携帯も繋がらない、コンビニも無い、若者もあんまりいない、山奥の村で林業に従事することに! 危険と隣り合わせ且つ超重労働に心は一瞬で折れ、すぐにでも逃げ出すつもりだったのだが、気の強い美人に恋したり、変わり者だらけの山の仲間が好きになったり、山で不思議な体験をしたり、自然の絶大なる存在に掛け替えのなさを感じてしまったり…。100年先を見据える“気の長〜い”仕事、“林業”のとてつもない魅力に、次第に気付いていく――。

『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』作品情報 | cinemacafe.net


矢口史靖監督は「ウォーターボーイズ」「スウィングガール」「ロボジー」「ハッピー・フライト」といった数々のヒット作を手がけてきたまさにヒットメーカーという表現がぴったりくる監督ですが、個人的にはいずれの作品も「おもしろいけど好きというほどではない」作品が多いです。

上述した作品はひととおり観ていてどれもおもしろいとは思うのですが「この作品が好き!」と言える作品はありません*1

肌に合わないっていうんでしょうか。あまり真面目に考えたことはないのでよくわかりませんが...。


さて。
そんな矢口監督の最新作を観てきましたが、今回は「この作品のことが好きだ」と思えるくらい作品のことが気に入ってしまいました。
大学入試に失敗してしまってやる気がなくなった勇気が、偶然見かけたパンフレットに載っていた長澤まさみを気に入り「こんなかわいい女の子と出会えるかも」なんていう下心から林業実習に参加するんだけど田舎生活の洗礼を受けて....というところから始まる物語がとにかく抜群におもしろいのです。

根っからの都会っ子である勇気は、周囲の空気なんてまったく気にせず、相手に失礼かどうかなんて考えもせずに自分が思ったこと口にするまさに現代っ子のひな形ともいうべきキャラクターなのですが、そんな彼も田舎特有の密着感ある人間関係や不便な生活に四苦八苦してときに逃げ出そうとするわけです。

田舎出身のわたしから見れば、「希薄な人間関係の中で生きてきた人がいきなり田舎に住むのは難しい」というのは容易に想像できるし、もし自分が勇気の立場であれば同じように逃げ出したいと思っただろうなと思いながら観ていたのですが、勇気はその場所からは逃げず((逃げられなかったとも言いますが(笑)))、つらくてうんざりしながらも持ち前のコミュニケーション能力と適応能力で田舎での生活のよさを肌で感じて徐々にその土地の価値観を受け入れてなじんでいくのです。

率直に申し上げると「都会に住んでいた人が田舎の生活になじむ」なんてのは本当に難しい話だとわたしは思っているのですが、この作品は勇気や受け入れる側の村の人たちの小さな変化を積み重ねて描くことでその変わっていく過程を違和感なく受け入れられるように組み立てられていました。


ラストの盛り上がりも申し分なくよかったし、非常によい作品でした。





@TOHOシネマズ宇都宮で鑑賞



公式サイトはこちら

*1:山形を舞台にしている点と上野樹里が出ているという点を加味すれば「スウィングガール」は大好きですが、作品としては特別好きというほどではありません