「記憶探偵と鍵のかかった少女」見たよ


他人の記憶に潜入する能力を持つ記憶探偵のジョン。数多くの難事件を解決してきた彼のもとに、ある日資産家夫妻からの依頼が入る。彼らの娘で、森の中の屋敷の自室に閉じこもる16歳の少女アナの記憶に潜入し、トラウマを解消してほしいという依頼だった。これまで数々の凶悪事件を解決してきたジョンにとっては、簡単な仕事のはずだった。しかし、ジョンがアナの記憶に潜入すると、彼女の記憶は不穏な謎に満ちていた。捜査を進めるうちにジョンは、アナの記憶と食い違う事件関係者の証言を耳にする。さらに黒ずくめの男から尾行されるようになり――。ジョンはアナの記憶に隠された過去の秘密を見つけ出し、全ての真相に辿りつけるのか。

『記憶探偵と鍵のかかった少女』作品情報 | cinemacafe.net


記憶というのは当人にとっては絶対的なものであると同時にとても頼りないものです。
記憶とは「自らが体験した出来事を頭の中に記録したもの」であり、昨日の自分と今日の自分をつなぐ役割を担っています。もし何らかの理由で記憶を無くしてしまった人がいたとしたらその人は記憶を無くす前の自分を自分と認識することができません。そして過去に他者との間に築いた関係も維持することができなくなってしまうため、とたんに社会から孤立してしまうことになります。


ところがこんなにも大事な記憶ですが、じつは非常に不安定で曖昧なものであるという一面をもちあわせています。

記憶をする過程で改変されてしまうのか、それとも記憶したあとに改変してしまうのかわかりませんが、たとえ同じものを見た人同士であっても記憶された内容がまったく同じになる保証はありませんし、十分細部に目を配れば完全に同じ記憶というのは存在しないことがほとんどです。人は見たいモノを見るし、聴きたいことを聞きます。そして一度記録された記憶ですら自分に都合がいいようにその形を変えてしまうこともあります。

わたしはこういうとらえどころのない「記憶」というものにすごく興味があって記憶をテーマにした映画や本がすごく大好きでしたので、本作の「他人の記憶に入り込める記憶探偵」という存在はわたしから見て非常におもしろそうな設定にうつりました。「記憶」と言うのは個人の体験の記録であるがゆえにとても個人的なものであると思うのですが、そんな記憶の中に他人がずかずかと入り込んでそれを確認するというえげつなさにすごくグッときたのです。

しかも、その記憶をのぞかれるアナと言う女の子は「gifted*1」と両親に呼ばれるほど頭脳明晰で多才な女の子でしてしかもものすごくキュートです。


そんな二人が出会い、記憶をのぞき始めて謎が深まる前半は非常におもしろかったのですが、中盤あたりからあまりにあからさまなヒントが増えてしまったために途中からオチが読めてしまいました。設定と前半はすごくよかったのに最後はさほどのめりこめずちょっと残念でした。


そういえばアナを演じたタイッサ・ファーミガをどこかで観たことある気がしたので帰ってきてから調べてみたのですが、「ブリングリング」に出ていました。うーん、そう言われてみればいたかも...(あやふや)。さらに調べてみたら年の離れたお姉ちゃん(21歳年上!)がいて、それがヴェラ・ファーミガだそうです。たしかにファミリーネームいっしょですねー。ぜんぜん気付かなかった。

ヴェラ・ファーミガはわたしの大好きな「ミッション: 8ミニッツ」での軍服姿がとても印象的なのですが、あんな大人の魅力がいっぱいのヴェラと、きれいだけどまだ幼ささえ感じるタイッサが姉妹だということにはびっくりしました。というか、二人とも記憶を題材にした大好きな映画に出ているという共通点もあったことにも妙なつながりを感じてしまいます。


@MOVIX宇都宮で鑑賞



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*1:先天的にものすごい才能を有している人たちの呼称