「六月燈の三姉妹」見たよ


鹿児島のシャッター商店街にある和菓子屋「とら屋」。家族で経営しているが、両親は既に離婚。長女は出戻りで、次女は離婚調停中、三女は結婚直前に婚約破棄している。ここに、東京から次女を追ってきた夫が加わり、和菓子店の再建の為に背水の陣を敷く。六月燈の夜に新作和菓子「かるキャン」で起死回生の大作戦に出るが、果たしてその結末は…。

『六月燈の三姉妹』作品情報 | cinemacafe.net


観終えて3か月近く経ちますが、観て感じたことをいまだにうまく言語化できないすごく不思議な作品でした。
内容は、鹿児島にある小さな商店街を舞台にそこで和菓子屋さんを営むちょっと変わった家族を描いた作品ですが、取り立てて何かすごいことが起こる物語ではありません。


冒頭、離婚を言い渡された旦那が実家に帰ってしまった妻を追いかけて鹿児島へやってくるのですが、当初は一日だけ滞在して帰るつもりが思うようにことは運ばず、結局予定よりも長く滞在することになってしまいます。もう東京に戻って仕事をしなければならないのですが、話し合いが進まないので帰るに帰れず、でも妻の実家からはあきらめが肝心だからさっさと帰れと言い渡されて残るに残れず困り果ててしまっています。

けれど、そうやって日常を差し置いて非日常に身を置いてみたときに見えてくるなんてことのない風景が、すごく普通の風景なのにすごく特別に感じられるし、そんなふうに特別に感じることがすごく当たり前のように感じられるのです。すごく普通なんだけどすごく特別でその特別に感じられることがなんかすごく普通なんです。

もうちょっとうまい表現ができないのか悩んだのですがこれ以上にしっくりくる表現はないのでこうとしか言えないのですが、なんかすごくいいなと感じたことだけは間違いなく言えます。


なんか何を書いているのかさっぱりわからなくなってきました(笑)


とりあえずここまで思いついたことを書いてみて感じたのは、本作のすばらしいところは家族そのものを丁寧に描くだけにとどまらず、商店街の人たちや家族に関わる人たちとのささやかな日常をきっちりと描き、そして六月燈という地元のお祭りで盛り上がる非日常もきっちりと描いている点だということです。

そうやって描きたい対象だけではなくその周辺も含めて丁寧に描くことで、作品が描きたい対象である「家族の姿」を正確かつ立体的に感じさせることに成功していたし、そのおかげで観れば観るほどこの三姉妹やその家族に対する思い入れが強くなっていってどんどんのめりこんでしまいました。


正直すごく地味な作品ですので誰にでもおすすめできるというタイプの作品ではないのですが、この作品を観たことをこれからもずっと大事にしたいと思えるステキな作品でしたし、鹿児島に住んでいる方はご自身が住んでいる土地を舞台にした作品でこれほどのものが世に出たことを誇りに思っていいくらいすばらしい傑作だと思います。


この映画を観た影響で、生まれてこの方こんなに鹿児島に行ってみたいと思ったことがないというくらいかなり作品の魅力にひきこまれてしまいました。あまりに単純で恥ずかしいのですがでも本気です。


来年の6月は鹿児島に行くぞ!(影響受け過ぎ)


@TOHOシネマズ宇都宮で鑑賞


公式サイトはこちら