リストラと離婚が同時にやってきて、マンションまで売り払ったカメラマン・佐々木は、南の島で気分転換をと思い立ち、西表島まで来た。島に着いた日に4人組のキャンプ生活者に出会い、最初は警戒するものの先生、マンボさん、ギタさん、ヨシオと名乗る彼らは佐々木を歓迎し愚痴まで聞いてくれる。盛大に酔い潰れた翌日、佐々木の全財産と全荷物と共に4人組の姿は消えていた。そんなとき、都会風の世間知らずな若者オッコチが現れる。そして、関西弁のアパとキミが加わり4人の奇妙な海浜生活がスタートし、次第に結束は固まっていく。ある日、全財産と全荷物を取った犯人4人組の噂を聞き、リベンジを決意する。起死回生の賭け、佐々木の“ぱいかじ南海作戦”の始まりだった――。
『ぱいかじ南海作戦』作品情報 | cinemacafe.net
フォーラム那須塩原で観てきました。
リストラと離婚で参ってしまった男性が、南の島でリフレッシュしようとしたら飛んでもない目にあったでござるというお話でしたが、たいそうおもしろかったです。笑える部分もあり、きゅんとくる部分もあり、そしてどうにもいたたまれなく感じるところもあるといった具合でして、終始どこかしらの方向に感情を揺さぶってくる作品でした。すごくよかった!
さて。
最初にも少し書いたとおりストーリーは割と荒唐無稽な感じでして、もうちょっと詳しく書くと「離婚とリストラのダブルパンチをくらった男性が、人生を一度リセットしようと南の島に出かけたら、その島の浜辺で出会った4人のホームレスにだまされて全財産を失ってしまい、やむを得ず体一つで浜辺で暮らしていたらそこに次々と若者が遊びにきてあっという間に仲良くなってしまって毎日をそこそこ楽しく過ごしていたら、ある日自分をだましたホームレスたちが近くに住んでいることを知ってしまったのでさあどうする?」という内容です。
ぶっちゃけ自分でも書いててこれどういう話だ?と首をかしげたくなるようなそんなお話なんですけど、これがおもしろいんだからすごいなと思うわけですよ。
仕事や学校の人間関係に疲れたり、多忙過ぎて毎日時間に追われているようなストレスフルな生活を送っている人にとって、「南の島に住む」というのはそういった一切の面倒事から解放してくれるようにみえるというのは分かります。繰り返される日常に嫌気がさした人が、非日常に逃げ込みたくなるその非日常の舞台として南の島はとても最適なわけです。
だけど、もちろん南の島にだって形は違えども日常というのはあるわけで、そこに住むようになればそこで過ごす非日常はいずれ日常へと姿を変えていきます。
本作が描いていたのは、そんな非日常が日常へと姿を変えていく様子であって、そこがすごくおもしろかったなと。
特別だったものが特別ではなくなるその過程をとても丁寧に描いていたところに好感をおぼえたのは間違いないのですが、この作品のおもしろさはそんな一部分にあるわけではなく、作品をとおして放たれていた魅力の源泉はいまもまだわからずにいます。
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