「魔女の宅急便」見たよ


魔女の血を引く少女・キキは13歳になり、一人前の魔女になるための掟に従い、黒猫のジジと箒に乗って旅に出る。やがてたどり着いた海辺の町・コリコでキキを待ち受けていたのは、パン屋の女将・おソノや空を飛ぶことを夢見る少年・とんぼなど個性豊かな住人たちだった。キキはおソノのもとに居候し、お届けもの屋「魔女の宅急便」を始めるのだが…。

『魔女の宅急便』作品情報 | cinemacafe.net


わたしが小学生のころ、友だち4人で秋田市にある映画館まで映画を観に行ったことがあります。

そのとき観たかった映画を上映していた映画館はわたしが住んでいた男鹿市から映画館の最寄駅まで電車で40分、さらに駅から歩いて30分くらいかかる場所にあったために移動にすごく時間がかかったはずなのですが、友だちだけで遠出したのは初めてですごく楽しかったこともあって思いのほかあっという間に映画館に着いたことはよくおぼえています。

小学生にありがちな「むだに朝が早い」がさくれつしたために、一回目の上映のかなり前に映画館に着いてしまった小学生男子一行。

混む前にチケットを買っちゃおうぜ!ともりあがったわれわれ4名は、窓口にかけよって子ども4枚!と口々に伝えたところ、窓口のおばちゃんがあんたたちどこからきたの?親はいっしょじゃないの?となにやら興味津々の様子。ふだんは人見知りスキルがばっちり発動するメンバーばかりでしたが、おばちゃんがとても話しやすそうな人だったこともあって、うちら子どもだけで男鹿から電車に乗ってきたんですよー、駅からは歩いてきたんですよーなんて話を自慢げにしたところ、へー、遠くから子どもだけでくるなんてすごいね、とか、歩いてくるなんて子どもは元気だねなんてほめてもらっちゃって予想外にほめられたわれわれ一同歓喜

さらに、そんな遠くからきてくれたんだったら割引するねと安くしてもらいました。安くなったのは100円か200円くらいなんでしょうが初めてそんな扱いをしてもらえたことがうれしくて、20年以上経ったいまでもそのときの気持ちは忘れていません。


で、そのときに観たのが当時公開されたばかりだったジブリの「魔女の宅急便」でして、初めて映画館で観たときもすごい楽しく鑑賞したし、いまでも大好きな作品です。キキが旅立つときや大きな町を見つけたときのワクワク感もよかったし、新しい生活に少しずつ慣れていって自分の生活を築いていくところもすごく好きなんですが、じつをいうとこの映画を初めて観たときにわたしはすごく衝撃を受けました。

映画館に映画を観に行くことすらちょっとした冒険のように感じていたわたしとわずかしか年の違わない女の子が一人で親元を旅立って生活をしていくわけです。この映画を観たことでキキはわたしのヒーローになりました。中学、高校、大学に入学して初めての生活に飛び込むとき、極度の人見知りのせいで新しい生活に及び腰になりがちでしたが逃げ出したいと思うたびにキキのことを思い出しました。

慣れない生活がつらいと感じるたびに「13歳の女の子があんなにできるんだからじぶんもがんばろう」と鼓舞しながら何とかやってこられたと思っています。ぜんぶキキのおかげとはさすがに言い過ぎですが、20%くらいは彼女のおかげかも知れません。



そんな大好きな「魔女の宅急便」が実写化されると聞いたので見てきましたが、作品の内容をうまく実写として構築し直しているなと感じました。アニメと比べるとキキが飛ぶところなどはやや無理を感じるところもありましたが、世界観もふくめてうまく映像化できていたと思います。

ただ、いかんせん物語がおもしろいと思えませんでした....。
旅立ちのところも微妙だったし、キキの成長譚としても惹かれる部分がなくて見どころらしき見どころがないなというのが率直な感想でした。とは言え、この作品がおもしろくなかったというわけではなくて、もしかしたらわたしがこういう物語をもう必要としていないということなのかも知れないなと思い、ちょっと寂しい気持ちになりました。


@TOHOシネマズ宇都宮で鑑賞。


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