社会人コースのシナリオ教室で偶然出会った、全く噛みあわない2人。「私、こんなに頑張ってる!」が口癖だが、一向に芽の出ない「ばしゃ馬さん」こと馬淵みち代(麻生久美子)と、「オレ、本気出したらエグイで」が口癖だが、何もやったことのない「ビッグマウス」こと天童義美(安田章大)。あろうことか「ビッグマウス」は、年上女性「ばしゃ馬さん」に恋をしてしまった…。
『ばしゃ馬さんとビッグマウス』作品情報 | cinemacafe.net
TOHOシネマズ宇都宮で観てきました。
学生時代から脚本家になることを夢見てシナリオを書き続けているけどなかなか報われない女性と、自分は脚本を書く才能があるからいつでも書けるし賞も取れると大口を叩くくせに一度も脚本を書いたことがない男性という対照的な男女を描いた作品でしたが、夢を諦めるタイミングの難しさや等身大の自分を見据えて生きていくことの苦しさを丁寧に描いたよい映画でした。
ひとつのことにこだわり過ぎてしまったためにどうにもならなくなってしまっているみち代や、空論は饒舌に語るけど自分が何ももっていないことを直視するのが怖くて最初の一歩を踏み出せずにいる天童。そんな二人の考え方や行動には「痛かったころの自分」「いまの自分が抱えている稚拙で恥ずかしい部分」を投影してしまうようなそんな強烈なリアリティがあって、二人の行動や発言に赤面しつつ、そして共感もしつつ最後までモジモジとしながら鑑賞しました。
本作はよいところがたくさんあってとにかく褒めて褒めて褒めたおしたいくらいなのですが、中でもとりわけよかったのが物語の組み立て方がとてもおもしろくてひじょうに感心しました。「脚本を書くこと」を題材としてかかげているというの関係しているのでしょうが、すごくユニークだしうまいなとひたすら感動をおぼえました。演出もよさもあったのでしょうが、冒頭とラストの展開なんかすごくきれいにまとまっていてよかったです。
いまのところ、今年の邦画ベストだなと確信してしまうくらい気に入りました。
もう一回観たかった!
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