大手広告代理店に勤める滝川由紀子(香里奈)は、おしゃれに目がない29歳。彼氏はだが30歳を目前に何もなし得ていない自分に焦燥感を募らせる。友人の聖子(麻生久美子)・容子(吉瀬美智子)・孝子(板谷由夏)もそれぞれ仕事や人生に悩みを抱え…。迷いながらも、懸命に自分と向き合い人生を謳歌しようと奮闘する――女性なら誰もが共感できるガールズムービー。
『ガール』作品情報 | cinemacafe.net
MOVIX宇都宮で観てきました。
奥田英朗さんの同名書籍を原作とした作品でしたが、内容は概ね原作に従順に描かれていてなかなかよかったです。
原作は短編集なのですが、映画ではそれぞれの短編の登場人物を同じ大学の先輩後輩として位置付けることで作品全体に一体感をもたせていたのはよい工夫だったし、そうやってひとつの物語としてまとめたおかげで「女性の生きづらさとそれでも前向きに生きていこうとする強さ」という原作のエッセンスがより色濃く感じられたのもよかったです。
また個々のストーリーについては、原作大好きな私が観てもよく再現されていると感じましたし、その再現性の高さだけでも十二分に見ごたえがあって満足できる出来栄えとなっていました。
ただひとつ気になったのは、描かれる女性4人それぞれの描かれる濃度が大きく異なっていたことです。
もちろん「全員平等に同じくらい描いて欲しい」なんて極端なことを言いたいわけではなくて、原作で描かれていたようにそれぞれがそれぞれの人生の主人公なんだということを自然に感じられるくらいに等しく描いて欲しかったなと。
上映時間のうち、それぞれに割かれた時間を感覚的に分けてみると、内訳は由紀子(香里奈)と聖子(麻生久美子)がそれぞれ35%で、容子(吉瀬美智子)が15%で孝子(板谷由夏)が5%、そして残りの10%をみんなが出てくるところに割いていたような気がします。
中でも孝子のエピソードはどれも前後が省略され過ぎていたので唐突に感じられて、そこがちょっともったいなかった気がしました。原作の中でも好きなエピソードだったからよけいそう感じたのかも知れませんけど...。
そんなわけで、細かい不満はありつつも全体をとおして共感できる作品でしたが、わたしが一番好きなのは由紀子が「10代の頃に思い浮かべていた20代30代の自分の姿」と「いまの自分の姿」が乖離しているとつい口にするシーンです。以前「年は取るものではなく重ねるもの」というエントリーで書いたとおり、年を取ったからといって大人になるわけじゃないということは最近嫌というほど思い知ったわたしにとってもすごく分かるなと感じる部分でした。
あと、作品的には超どうでもいいことなんですが、加藤ローサの演技がすごくナチュラルになってて感動しました。
波留ちゃんはいま出ているDOCOMOのCMとキャラかぶりしていて、実はDOCOMOのCMはこの映画のスピンオフ企画なんじゃないかと疑いたくなるレベルでした。とりあえず超かわいかったです。
ちなみに原作も大変おもしろいので未読の方にはお勧めしておきます。
- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/01/15
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