
- 作者: 誉田哲也
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/02/10
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武蔵を心の師とする剣道エリートの香織は、中学最後の大会で、無名選手の早苗に負けてしまう。敗北の悔しさを片時も忘れられない香織と、勝利にこだわらず「お気楽不動心」の早苗。相反する二人が、同じ高校に進学し、剣道部で再会を果たすが…。青春を剣道にかける女子二人の傑作エンターテインメント。
http://www.amazon.co.jp/dp/4167780011/

- 作者: 誉田哲也
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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「強さは力」の香織と「お気楽不動心」の早苗。対照的な相手から多くを吸収したふたりだったが、早苗は、家の事情で福岡の剣道強豪校に転入。そこでの指導方法の違いに戸惑う。一方、香織は後輩の育成に精を出す。互いを思いつつも、すれ違うふたりは、目指す剣道に辿り着けるか。大人気剣道青春小説、二本目。
http://www.amazon.co.jp/dp/4167780038/

- 作者: 誉田哲也
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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高校時代を剣道にかける、またとない好敵手。最後の夏、ふたりの決戦のとき。新進気鋭が放つ痛快・青春エンターテインメント、いよいよ天王山!わたしたちは、もう迷わない。この道をゆくと、決めたのだから。
http://www.amazon.co.jp/dp/416328320X
昨年から読み始めた武士道シリーズもついにこの「武士道エイティーン」が文庫化されたことで最後まで読むことが出来ました。
本シリーズは、タイトルの数字がメインキャラクター2人の年齢をあらわしており、つまりこの3作は彼女たちの16歳から18歳という高校時代を描いた作品です。剣道という「誰もが知っているけれどほとんどの人がルールまでは詳しく分からない武道*1」を物語の主軸として選びながらも、そこで描かれる内容は青春のエッセンスそのものでして読みながらまるで自分が体験したことのように感じるほどでした。
個性ある物語で普遍的なテーマを描いているところが、この作品の一番の魅力だと思います。
目新しい題材で物語を紡ぎながらも、内容は普遍的なものを描いているというのは私が好きになる作品によくみられる傾向でしてとてもおもしろかったしよかったです。
あとはストーリーのテンポがすごく独特で、これはかなりおもしろいなと感じました。
唐突に剣道の試合から始まる「武士道シックスティーン」の冒頭もそうですが、あるシーンはじっくりと丁寧に描いていたかと思えば、いろんな大事なことがあったはずの数ヶ月をあっという間にすっ飛ばしてしまうこともあります。そしてあとからすっ飛ばしたところを少しずつ補完して行ったりと、時間軸とらわれない緩急自在で自由な構成がとてもユニークで印象的でおもしろくて好きでした。
と、長々と武士道シリーズ全体の感想を書いてしまいましたが、「武士道エイティーン」はシリーズ最後を締めくくるにふさわしいすばらしい傑作でした。
「武士道シックスティーン」で考え方も価値観も違う香織と早苗が無二の親友となり、「武士道セブンティーン」では離れていても同じ志をもっていきていればどこにいても関係ないんだということを悟るのです。
「武士道エイティーン」はそんな二人が互いを結び付けてくれた剣道が二人に見せる未来、さらにその剣道をとおして得た武士道という考え方はどういうことなのか?というところが伝わってきてとても心地よく読むことができました。
さらに前2作は香織と早苗の視点だけだったのに対して、武士道エイティーンではより多くの人の視点から物語が語られ、物語が描く世界のバックボーンを肉付けしてくれます。
早苗と香織に影響を与えたあの人はいったいどんな人生を歩んできたのか?
人に歴史ありという言葉のとおり、どんな人にもその人が生きてきた分だけの歴史があるわけで、それを知ることでその人の発言の本意や裏にある考えをうかがいしることができる場合もあります。この作品で描かれた世界を総括するという意味でも、メインキャラクターだけでなくサブキャラクターのバックボーンも描いてくれたのはよかったと思います。
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ちなみに、実は「武士道シックスティーン」は映画化されていて、キャストもすごく私好みなのですがまだ観ていません...。「いつか映画館で」と思いながらいまだ果たせず、しかもどこかで上映する当てもない状況なので、いいかげん諦めてDVDで観てみようかなと思っているところです。
(関連リンク)
*1:ここではあえてスポーツではなく武道としておきます