「大きな熊が来る前に、おやすみ。」読んだよ

大きな熊が来る前に、おやすみ。 (新潮文庫)

大きな熊が来る前に、おやすみ。 (新潮文庫)

きっかけは本当につまらないことだった。穏やかな暮らしを揺さぶった、彼の突然の暴力。それでも私は―。互いが抱える暗闇に惹かれあい、かすかな希望を求める二人を描く表題作。自分とは正反対の彼への憧れと、衝動的な憎しみを切り取る「クロコダイルの午睡」。戸惑いつつ始まった瑞々しい恋の物語、「猫と君のとなり」。恋愛によって知る孤独や不安、残酷さを繊細に掬い取る全三篇。

Amazon CAPTCHA

酒井駒子さんが表紙を書いた本にはハズレがないというのがわたしの中ではもはや鉄板になりつつあるのですが、この本は「人を好きになること」を主軸に日常を描くことで、人の抱える孤独というか寂しさを浮き彫りにするなかなかインパクトある作品でした。ひとつひとつのシーンを組み立てるためにとても丁寧に言葉が積み上げられていたので、全体にわたってとてもリアリティあふれる内容となっていました。自分の中にある憧憬とどこかリンクしそうな臨場感に満ちた文章は、あまりに生々しくてちょっと読んでて怖かったです。


恋愛小説なんてそんなに好きじゃないわたしも、読み進めるだけでゾクゾクしてくるすごい作品でした。島本さんのファンになってしまいそうです。