「ALONE TOGETHER」読んだよ

ALONE TOGETHER (双葉文庫)

ALONE TOGETHER (双葉文庫)

「ある女性を守って欲しいのです」三年前に医大を辞めた「僕」に、脳神経学の教授が切り出した、突然の頼み。「女性といってもその子はまだ十四歳…。私が殺した女性の娘さんです」二つの波長が共鳴するときに生まれる、その静かな物語。『MISSING』に続く、瑞々しい感性に溢れた著者初の長編小説。

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著者である本多さんの代表作である「MOMENT」や「MISSING」もそうでしたが、透明感という言葉がとてもふさわしい作品でした。


主人公である「僕」が有する「自分と相手の心を同期させることで他者の本心を抉り出すことが出来るという能力」は、相手の心を読み取るといった意味では読心術と同じような側面もあるのですが、心を読まれた相手がその人自身の本心と強制的に向き合わされるという点がとても残酷で読みながらゾクゾクしてきました。
他人の心を読める存在であるテレパスの生態を描いた七瀬シリーズ(家族八景〜エディプスの恋人)とも似ていますが、でも深層心理への踏み込み方が全然違っていてとてもおもしろいアプローチだと感じました。


日常の中に混ざりこんだ、わずかな非日常感のボリュームが絶妙でとてもよかったです。


(参考)