「コード」見たよ


夕食会、それは上辺をどう取り繕うか問われる場だ。身なりを整え顔は笑顔、ハッタリはばれないよう、様々なことをみんなで分かち合う。不安はユーモアで隠し、苦しいことは笑い声で抑えつける。それが一番大切なことだと、誰もがそう信じている。礼儀をわきまえて、真心も欺瞞も尊重し、上機嫌に努めていれば、楽しい夜になるのだ。しかしみんなが帰途につき始めると、仮面はどんどん剥がれていって……。

フランス映画祭2010公式サイト--Festival du Film Francais 2010--

TOHOシネマズ宇都宮にて。フランス映画祭2009 アンコール上映作品。
ある日に開かれたホームパーティに集まった人たちがパーティを境にして人生が大きく変わっていく様子やそれぞれに訪れるドラマがとてもリアルというか生臭く感じられる作品でした。おもしろかったです。


欧米の映画を観ていておどろかされるのは、日常的にパーティが開かれているということです。
「今日うちでパーティあるんだけど来ない?」なんて誘い文句は映画の中の世界でしか知らないのですが、ホントにみんなあんなふうにパーティをしているなんて信じられません。
顔見知りの人から、知人の知人の知人くらい遠い関係にある素性がよくわからないような人まで、たくさんの人を自宅に招き入れるなんて怖くて出来ないなー、とわたしなどは思うわけですが本当のとこどうなんでしょう?
このあたり、事情に詳しい人がいればぜひ話を聞いてみたいのですが、とにかく自宅に大勢の人を呼んでワイワイ騒いで楽しもうとする発想そのものに文化の違いというか断絶を感じるし、そもそもこれだけよくそういうシーンを見かけるってことはもしかしたら文化の違いとかじゃなくて単におれがその楽しさを知らないだけなんじゃ...的な不安を隠すことが出来ません。


とまあ、わたしにとってよくわからないホームパーティなのですが、本作を観てフランスには「ホームパーティに行くのめんどくさい」とか「行きたくない」と思う人もいるんだということを知ってホッとしました。
そしてそういった本音を隠しながらもうまく付き合おうとする人たちの姿を見ていたら、ホームパーティを開く理由というのも少なからずわかってきたような気がしました。


自分がおいしいと思うものを作って他人をもてなし、一緒にご飯を食べながらいろんな世間話をするということはわたしが思っていた以上に人と人の結びつきを強くします。わたしは他人との関係というものをとても軽く見ていて*1、そして社会との接点をとても小さく持とうとしています。会社という場所や子どもが通う幼稚園。そういった必要最低限の場を介してだけ他人との関係性をもつことで、面倒な人との関わりを本当になくそうとしているわけですから、ホームパーティに価値を見出すことなんかできるわけがないのです。


ある日のホームパーティの様子とその一年後の同じ日という時間の流れ方の演出がとてもおもしろかったし、物語そのものもリアリティが感じられたのがすごくよかったです。

*1:そのことにこの作品を観て気付いたのですが