「クヌート」見たよ


ドイツのベルリン動物園の人気者、ホッキョクグマの“クヌート”は、生まれてすぐ母クマに育児放棄され、世界でも例の少ない人工哺育で育てられた。地球温暖化の影響を受け、絶滅の危機にさらされているホッキョクグマ。クヌートは、そんな仲間を救うシンボルとして、環境保護大使に任命された。そんなクヌートの誕生から成長していくさまを軸に、野生のホッキョクグマの親子と、森林で孤立しつつあるロシア・ベラルーシのヒグマの兄妹の姿を捉えた感動のドキュメンタリー。日本版のナレーションを、藤井フミヤが務めている。

『クヌート』作品情報 | cinemacafe.net

宇都宮ヒカリ座にて。


ものすごく貴重な映像だとか、見たことのないくらい変わった映像が見られるとか、そういった類の作品ではないのですが*1、終始画面上に惹きつけられてしまう魅力ある作品でした。
既にさまざまなドキュメンタリー作品が撮られているこの時代に、いまさら熊の生態なんて見ても...と思わなくもなかったのですが、「生まれ住んでいる場所で生きるホッキョクグマ」「母親グマを人間に殺されてしまったヒグマの兄弟」「母親に育児放棄されて人間に育てられたホッキョクグマ」とさまざまな環境で強く生きようともがくクマたちの姿からはまったく目が離せませんでした。


ちなみに、本作のタイトルになっている「クヌート」というのは、上で書いた人工保育されたホッキョクグマに付けられた名前ですが、ベルリン動物園で育てられている様子の一部始終がとてもよくまとめられていて非常に感銘を受けました。ミルクを作って飲ませるだけでなく、遊び相手になったり一緒に寝たりと生活のすべてをクヌートの成長に当てている様子が映像として残されていました。
日がなクマの相手をしなければならないことも大変だと感じたのですが、クヌートが成長するにしたがって遊び相手になることがすごく大変そうに見えました。クヌートが付けたのかどうかは描かれていませんでしたが、飼育係のトーマス・デルフライン氏の腕に付いた痛々しい傷からも彼の献身的な仕事ぶりがうかがえました。いくらコグマとは言え、引っかかれたり噛まれたりしたら痛いですよね....。


氏は昨年44歳という若さでなくなったそうですが、長期にわたってわずらっていた病気が死因だったということを知り、何となく彼の献身さを生み出していたものが見えてきたような気がします。


公式サイトはこちら

*1:ホッキョクグマを人工保育するというのは非常に珍しいケースらしく、それはたしかに興味深かったです