「プリズムの夏」読んだよ

プリズムの夏 (集英社文庫)

プリズムの夏 (集英社文庫)

海辺の町。高校生のぼく・植野と親友の話題は、寂れた映画館の美しく無愛想な受付嬢・松下菜那のことだった。憧れと現実、情熱と挫折、そして…。瑞々しい季節を描く、第15回小説すばる新人賞受賞作。

http://www.amazon.co.jp/dp/4087746275

ネットと現実のリンクを描いた点が非常に現代的に感じられる一方で、友達と同じ人を好きになってしまいうといういかにも夏の定番っぽさも感じさせる部分もあってとてもぜいたくな作品でした。
読み始めて早々に感じた「ひと夏の淡い恋物語への発展の予感」はあっという間に息を潜め、話はややダークな方向に舵をきってしまったのが残念でしたが、高校生らしい行動・言動が多くて「こういうこと言う奴いたなあ」とか思いつつ、非常に懐かしさが感じられました。


映画館の受付嬢に恋してしまったというのがこの物語の始まりなのですが、このくだりにはとても共感を覚えてしまいました。
あちこちの映画館に行くようになって分かったのは、映画館のスタッフはかわいい人が多いということです。特にチケットを売っている人のかわいい人率はかなり高いです。著者がこのような話を書きたくなった気持ちはすごくよく分かるし、この設定だけは誰がなんと言おうと100%支持します。


物語自体はかなり好き嫌いが分かれそうですが、夏を満喫できるよい作品だと思います。