青森で農業をしながら一人で暮らす純朴な青年・陽人(松山ケンイチ)はある日、東京からやってきた保育士の町子(麻生久美子)に生まれて初めての恋をする。事故で死んだ元カレの見つからぬ首を捜すため、カミサマと呼ばれる占い師に会いにやって来たという町子。けれども、そんなうわさはお構いなしで、陽人は彼女に毎日会いに行く。そして、その強すぎる想いは、うそみたいな出来事を次々と起こしていく――。『デスノート』シリーズ、『デトロイト・メタル・シティ』で人気絶頂の松山ケンイチが、自身の故郷である青森を舞台に全編津軽弁で挑む、究極のラブストーリー。
『ウルトラミラクルラブストーリー』作品情報 | cinemacafe.net
TOHOシネマズ宇都宮にて。
よくいえば意欲的、悪くいえば破綻寸前の綱渡りのような危うさを感じさせる作品でした。松山ケンイチと麻生久美子のラブストーリーというだけでとても軽いポップなラブストーリーを期待していたのですが、横浜聡子が監督ということであればたしかにこうなるよなあと観終わってからしみじみ実感しました。ものすごくシュールで現実味がないけれど、だからこそこういう物語があってもいいよなあと思える部分もある不思議な作品でした。
ただ全編津軽弁ってどうなんだろうなあ(笑)
松山ケンイチのセリフの多くはかなり濃度の高い津軽弁だったのですが、これがまた聞き取りにくい。
わたしは地元が近いというかそこそこ似たような言葉を使うおかげでそれほど分からない部分はありませんでしたが、たぶん北東北の言葉に慣れていない人にとってはまさにチンプンカンプンだったはずです。たぶん監督的には言葉の一つ一つの意味は伝わらなくていいやくらいの気持ちだったんだろうなあと思うし、そういう意味では言外での表現が松山には多く要求されていてとてもむずかしい演技だったんじゃないかなというのもそれとなくうかがい知れました。
以前、「カフーをまちわびて」という映画を見たときにあまりに沖縄の言葉が分からず笑ってしまったのですが、この作品もまったく同じ理由で笑ってしまったし、同じ国の言葉なのにこれほど伝わらないこともあるのだという事実というのはなかなか興味深く鑑賞しました。方言は残ってほしいです。
それにしてもわたしの期待の仕方が間違っていたとはいえ、前半の受け入れがたさは正直これに並ぶ作品は今年なかったと思えるくらいまったく受け付けませんでした。もうこんなに見ていられないと感じた作品はなかったなあ...。松山演じる陽人というキャラクターは見ているだけでイライラしてしまい、そんな彼の一挙手一投足はとても直視に耐えませんでした。途中、本気でもう帰ろうか思ったところもいくつかあったくらい合わなかった。
中盤以降、具体的には陽人の破天荒な行動にはそれなりの理由があると分かってからはまったく違和感というか反発を感じることはなくなり、一気に作品の世界に引き込まれてしまいました。陽人のキャラクター設定をちゃんと理解していればよかったのか....と、自分の予習の足りなさにちょっと残念な気分になりました。というか勝手に期待しすぎました。
見終わって振り返ってみるととても奔放に描かれた素敵な印象は残りますし、松山ケンイチがものすごく好きであればまったく問題なく楽しめる作品だと思いますが、ただ「え?なにこれ?」という人がほとんどだろうなあ...。
というか、私自身が思わずそう口にしそうになったくらいものすごくヘンテコな作品だったし、でもそれを押しのけるほどとてもパワフルな作品でした。
とりあえずあまりおもしろくないと思ってもぜひ最後まで見て欲しいし、あのラストをみてため息をついて欲しいです。
あのラストは忘れようと思っていても忘れられないなー。。。
映画を見るときはなるべくニュートラルな気持ちで見ましょう。先入観は持たないこと!!(今回の教訓)
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