女の子が幸せになる子育て

女の子が幸せになる子育て

女の子が幸せになる子育て

話題の校長先生が親からの相談に丁寧に答えました。子供の心にスイッチが入る瞬間。

http://www.amazon.co.jp/dp/4761265655

ふだんは育児にはさほど熱心ではなくて、この手の育児/教育関連の本は一切興味をもったことがなかったのですが、ここを読んで興味を持ったので読んでみました。


本書は、現役の校長先生でもある著者が、これまでの指導経験から学んだ子どもの育て方に対しての持論を簡潔に分かりやすくまとめた一冊です。ひとつのテーマはおおよそ2-4ページ程度にまとめられていて非常に読みやすく、言いたいことがはっきりと伝わってきてよかったです。
例えば、何か子どもにさせたいことがある時には、可能な限り子ども自身が「自分でやることを選択したんだ」という意識を持たせるようにしようというのは私自身の子どもの頃の経験からもすごく共感出来たし、子どもの本心や本気の力を活かすために無理なくそれらを引き出すためにはどのようにすべきなのかという視点は面白いなと感心させられました。
そのいずれも非常に参考になったのですが、その中でも特によいと感じたのが子どもの話に耳を傾ける時に守るべき3つのポイントについてです。子どもは悩みが大きければ大きいほどすぐにその話は切り出せないので、些細な話だと感じても以下の3点を守って聞いてあげた方がよいというのは非常にそのとおりだなと感じました。

    1. 顔を見ながら聞く
    2. 途中で話をさえぎらない
    3. 話を聞きながら「どう反論しようか」「どうアドバイスしようか」など、自分の心のなかで自分と会話しない


1,2は頑張れば出来そうだけど、3は自信がないなあ...。
でも親が子に出来ることなんて本当に限られているわけですから出来ることは極力力になりたいし、親のスタンスはこうあるべきだという点については頭では納得出来ているので、まずは一度やってみようと思います。


それと本書は子どもとの直接の関わり方に関することだけではなく、親と他の家族(一番は子どもから見た両親同士)の関係についても言及しています。例えば妻との会話も結論やオチを急かすのではなく聞くという過程を大事にするべきだということが書かれていて、身に覚えのある私にとってはこれは本当に耳が痛い話です。普段会話をしている時に「で、何がいいたいの?」とか「で、オチは?」みたいなことをよく口にしていたわたしの悪行を見透かしたかのような戒めの言葉に、身の縮むような思いでいっぱいになりました。
これ以外にも「任せたらあとで文句を言わない」とか「後にしてくれ(と後回しにしない)」というのも、とても身に染みることばかりであり、「子どもを育てるためにはまず親自身が成熟しないといけないんだよな」という当たり前のことを改めて実感しました。精進します...。


最後に。
この本のタイトルを見た時に、「なぜ対象が女の子に限定されているのか?」と疑問に感じたのですが、これは著者が中高一貫の女子校の校長先生だからであるためだというのはなかなか興味深く感じました。育児系の本だと男女の性差に言及している本はよく見かけるのですが、中学/高校生くらいの子どもを題材にしているこういう教育論の本で、性差を明確にしている本はあまり見かけたことがなかったのでちょっと驚いてしまいました。このあたりの話はこの本を紹介していた上記のブログでも書いていましたが、ジェンダーフリーを謳って「性差なんかない(もしくは関係ない)」という立ち位置で発せられたメッセージよりも、それぞれに違いがあること自体を認めてそれを前提にした上で、それぞれ適切な対象に向けて最適な情報が発信された方が言いたいことが伝わりやすいんじゃないかとわたしも思います。


幼児くらいまでの女の子がいる人はぜひ。