親しいからこそ言えないことがある

今日、朝日のサイトに「「孫疲れ」打ち明けていますか 苦悩抱え込まないで」という記事が出ていました。

孫はかわいいし、娘や息子を助けたい。でも、孫育てを負担に感じることも。そんな「孫疲れ」についてご意見を募ったところ、30通を超える手紙やメールが寄せられました。体調が悪くても無理を重ねた経験や、悩みを誰かに話すことの大切さなどが書かれていました。

http://www.asahi.com/articles/ASH7F3T7RH7FUTFL001.html

サイトに登録すれば全文読めるのでログインできる方はひととおり読んでいただきたいのですが、要は「孫はかわいいし育児を手伝うことは大事だと思うけどそれが当たり前のようになると頼られる方もつらいよね」という話です。


わがやではわたしも妻も実家が遠いので、子育てに関してはお互いの両親をたよる局面と言うのは非常に少ないです。少ないというか日常生活ではほぼありえません。状況的には「たよらない」というよりも「たよれない」というのが正しいのですが、表現はともかく「たよれる状況にはないしたよる気もない」というのが現状です。


一方で周囲の人たちがどうなのかを見てみると、大きく二つのタイプに分類できます。

ひとつはわたしと同じように「実家が近くにないので自分たちだけで何とかしているタイプ」、もうひとつは「実家の近くに住んで手伝ってもらっているタイプ」です。前者は夫婦共に宇都宮には何の地縁もなくて仕事のためにこの場所に住んでいるというタイプで、後者は昔から宇都宮に住んでいて実家も近くにあるタイプです。


前者の「実家から離れているケース」については立場的に近いこともあって気持ちも状況もわかるし、実際に置かれている状況がみなそこそこ似てるので想像できるのですが、後者の「実家の近くに住んでいるケース」についてはわりとケースバイケースというか前者に比べると事情が込み入ってることが多くておどろくことがあります。

たとえば、親とは仲が良くて実家の敷地内に家を建てて半ば同居していて子どもは親にぜんぶ見てもらっている人もいれば、あまり仲が良くなくて住む場所は近くに住んでるけど子どもを預ける以外はほぼ交流がない人もいます。ケースはいろいろあるのですが、いずれのケースにも共通しているのは子どもたちを祖父母に見てもらうことに抵抗がある人はほとんどいないということです。

孫と一緒にいられたら楽しいんでしょ?っていう感じ。
そうじゃない人もいるけどわりとこういう感覚の人が多いです。


おそらくこの「祖父母は孫のことがかわいくてしょうがないだろう」という決めつけというか思い込みはわりと一般的なものなんじゃないかなと思っていて、「親に孫の顔を見せる」ことが親孝行のひとつの形であるように描かれることはドラマでも映画でもよく見かけますし、わたし自身も親から「孫の顔が見たい」と真顔で言われたこともあるのでそう思っていました。

ただ、どんなにかわいいと思っていたとしてもその存在が日常を侵食しだせばかわいいだけでは済まなくなるだろうことは容易に想像できます。


上の記事にも書いてますが、孫の面倒と称してやらされていることがとても大変そうでこれは疲れるわ...という内容です。

平日は近所の娘宅で孫(9)と放課後を過ごし、週2回ほど、その妹(4)の保育園のお迎えもする。そんな生活が定年退職した昨春から続いた。

http://www.asahi.com/articles/ASH7F3T7RH7FUTFL001.html

これ有料で同じことしてもらおうとしたらどんだけお金がかかるんだ...っていうくらいの内容ですよね。

たぶん夫婦で仕事をしているので親に子どもの面倒を見てもらわないと回らないだろうなというのはわかるんですが、それにしてもこれを毎日やるとなるとなかなかできないことだと思いますし、いくら孫がかわいいといってもそれだけで楽にこなせるような作業量ではないです。

仮にわたしがこんなことを娘たちに頼まれたら「自分たちでやれよ」と断りたいなと思うのですが、一方ではこの記事のアンケートで大半の人が答えているように「自分たちだけでやって欲しいけど困ってるなら手助けしたい」という気持ちもすごくわかります。

家族が困っていたら助け合うのは当たり前だと思いますが、ここまでハードなタスクをこなすために自らの日常をささげるとなると孫がかわいいというだけでは少なくともわたしは続けられないです。

ただ、じゃあ大変だから孫の面倒を見たくないと言えるかというとそれもまた厳しいというか「できるけれどやらない、やりたくない」とはなかなか言えないなと思うし、それであればお願いする側が「孫はかわいいからそれくらいいいでしょ」なんていう軽い気持ちでは頼まないようにしないといけないなということはこの記事を読んであらためて実感しました。

そうは言っても保育園の数が不足している現状を考えると、公的支援で解決するのは限界があるし身内でできる解決策があればそれにたよらざるを得ないのはわかるんですけどね....。