チェンジリング


1928年。ロサンゼルスの郊外で、9歳の息子・ウォルターと幸せな毎日を送る、シングル・マザーのクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)。だがある日突然、クリスティンの勤務中に、家で留守番をしていたウォルターが失踪。誘拐か家出か分からないまま、行方不明の状態が続き、クリスティンは眠れない夜を過ごす。そして5か月後。警察から息子が発見されたとの朗報を聞き、クリスティンは念願の再会を果たす。だが、彼女の前に現れたのは、最愛のウォルターではなく、彼によく似た、見知らぬ少年だった――

『チェンジリング』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。
超重厚にして超濃厚。始まって早々に「これはものすごい作品なんじゃないか」と感じたその直感はとても正しくて、上映時間が2時間半と比較的長めながらもその長さをまったく感じさせないほど、強大な何かに全身まるごと引きつけられるような強烈な引力を感じさせる作品でした。まさに圧巻。
過去に鑑賞した洋画/邦画すべての作品含めた中でもベストオブベストとも言えるほどすばらしい作品でした。


当作品は上記のあらすじを見ていただければわかるとおり、子持ちにはとてもいたたまれない話であり、当初はわたしにはこの作品と向き合うことがとても厳し過ぎると感じていました。子どもがいなくなったことに右往左往する姿や、それを解決するためには公権力に頼るしか出来ない一個人の弱さというのは観ているだけで身につまされる思いでいっぱいになります。そしてその後クリスティンに訪れる警察からの仕打ちは本当にひどいもので、我ことのように思って観ていたわたしにはとても耐えがたいシーンの連続でした。
ですが、この仕打ちにも屈せずわが子を取り戻すために戦い続けるクリスティンの姿を観ていて、相手がだれであっても戦わないといけない時があるのだということを思い知らされたのです。例え公権力であっても、例え彼らが善意の装いで敵意がないようにふるまっていて他者からの理解が得られなかったとしても、それでも自らの大事なもののためには戦わないといけないのだということ。かわいいわが子のためには決して屈することのなかった彼女の強さというものを目の当たりにして、自分にははたしてその覚悟があるのかと問いかけずにはいられませんでした。


いつも他人と争うことを避けて適度に折り合いを付けて生きてきた今までの私の人生は、本当にこれでよかったのかどうか。そしてこれから生きていく上で、このままでいいのかどうか。そんな想いがどうしても頭から離れないまま、この数日間を過ごしています。


で、映画館から帰る道すがら、「そういえば何でこのタイトルなんだろう?」と不思議に思い、いろいろと考えてみたのですが結局ピンとくる答えが見つかりませんでした。リングを変える? なにそれ?と悶々としていたのですが、自宅で調べてみたらあっさりと答えが見つかりました。

本作のタイトルとなった「チェンジリング」とは“取り替え子”の意。ヨーロッパに昔から伝わる民話で、妖精が人間の子供をさらい、その後に置いていく妖精の子のことを意味する。とても象徴的なタイトルである。

遂に封切!イーストウッド最新作「チェンジリング」タイトル意味は“取り替え子” - ナビコン・ニュース

一面的にはたしかに象徴的な意味かも知れませんが本質的な部分じゃないよね...と納得出来ない部分もありますが、でもこのタイトルの響きや見た目はとても好きなのでこれでいいと思います。


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