僕らのミライへ逆回転


何かと問題を起こすジェリー(ジャック・ブラック)と、寂れたレンタルビデオ店で働く幼なじみのマイク(モス・デフ)。ある日突然、マイクの働く店のビデオ全てから中身が消失! 実は、発電所で感電し、超強力な電磁波を帯びてしまったジェリーが、ビデオをダメにしてしまったのだ。慌てた2人は自作自演で『ゴーストバスターズ』『ライオン・キング』など、消えた映画を作り直すことに。その手作りビデオは予想外にその好評を招き、たちまち店は大繁盛。再開発で困窮する店長(ダニー・グローヴァー)を救おうと、2人は町の人々も巻き込んで次々作品を作り出すのだが…。『恋愛睡眠のすすめ』のミシェル・ゴンドリー監督とコメディの名手ジャック・ブラックがタッグを組んだ、ほのぼのコメディ。第58回ベルリン国際映画祭クロージング作品。

『僕らのミライへ逆回転』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。ミシェル・ゴンドリー監督最新作。
やっべー。予告がおもしろかったので期待して観に行ったのですがすげー面白かったです、この作品。
バカバカしいシーン満載で笑いをかみ殺すのに必死だった前半と、一転してお店がなくなってしまうかも知れないという悲しさを乗り越えて迎えるとても印象的なラストシーンを含めた後半のギャップにはもう身をよじってもだえるしかありませんでした。繰り返しになりますがすごくよかったです。


まず前半ですが、もうすべてが度を越えたアホ過ぎるシーンの連続に笑いが止まりませんでした。
発電所に忍び込んだジェリーが感電するシーンでまず笑い、感電したせいでジェリーが磁化してしまうという意味不明さにも笑い、さらには磁化したジェリーのせいでレンタルビデオが全部消えてしまうと言う、この一連の流れには噴出してしまいました。いったいだれがこんな話を考えたのか分かりませんが、こんなおもしろいことを思いついてしまうその思考は心底うらやましいです。


さらに、レンタルビデオなのにビデオが全部見れなくなってしまうという窮地におちいったジェリーとマイクが取った行動が「自分たちでビデオをリメイクする」という、合理的なんだか破天荒なんだか分からない行動で、でもこのシーケンスこそがこの作品の肝とも言うべきおもしろさの軸となっていてそおのアイディアのよさにはうなってしまいました。


このリメイク作品のよさと言うか、高度な技術などは使わず(使えず?)に遠近法などを使って撮り方を工夫することによってうまれるシーン特有のあたたかさにすごくグッときました。CG映像、特に最近のCGは加工されていない映像と区別が出来ないほど精微なので、これをつかうことで映像で表現できる幅がすごく広がっていて、それに比べたらジェリーたちがとったリメイク作品の映像がすごく安っぽいことは間違いないのですが、でも見ている側を強烈にひきつけるものも確実にもちあわせていて、その魅力が多くのリピータをうんだ原動力なのだといえます。一度作品を観た人に「他の作品はないのか?」と言わせるような、「観た人を強烈に惹きつける力」とはどういうものなんだろう?と考えてみましたが、わたしの中で出た答えは作り手の体温が伝わってくる点にあるのではないかというものです。
作り手の体温という表現が適切かどうか自信がないのですが、CGを使ってそれっぽい映像をきれいに作り上げるのではなくて、稚拙であっても作り手自身の力だけで描かれた映像からは不思議な力が感じられるのです。



例えば↑は「キングコング」のリメイクを撮ったシーンだと思いますが、ひとつひとつがこういう工夫であふれているので、撮っているシーンを見て笑い、それが作品として流れるとまた笑うという、もうこのあたりは笑いっぱなしですごく愉快な気分に浸りました。


で、後半についてですがとにかくラストがすごくいいのです。
これだけ笑わせられた作品なのでまさか最後の最後にこんなシーンをもってくるとは予想していませんでした。予想外過ぎるwww
ひとつひとつの偶然が紡がれてラストにつながっていくのはやはりうまいな、すごいなと言うしかありません。


それともうひとつ後半部分ですごいと思ったのが、最後はリメイクではなくオリジナルを撮ろうということになり、最後の作品を撮ったシーンです。
この作品の冒頭にはあるシーンが挿し込まれているのですが、最初はそのシーンにはあまり意味があるとは考えていませんでした。普通に作品の導入部分の一部としてみていたのですが、このオリジナル作品を撮るシーンを観て初めて冒頭のシーンのもつ意味がわかったときの衝撃はすごく大きくて、「あー、すごいな...」ともう感心することしか出来ませんでした。


最初にも書いたとおり、予告だけでもすごく面白そうなのですが本編はその予想以上にすばらしい作品でした。
ぜひもう一度観たいです。


公式サイトはこちら


[追記]
文章がつながっていないところが多かったので推敲しました。