つきのふね

つきのふね (角川文庫)

つきのふね (角川文庫)

あたしはちゃんとした高校生になれるのかな。ちゃんとした大人になれるのかな。ちゃんと生きていけるのかな。壊れやすい心たち。

http://www.amazon.jp/dp/4062092093

何だかとても身につまされる内容で、読み終えてとても他人事とは思えずに考え込んでしまいました。


何か過ちを犯してしまった時、たとえバツが悪くても謝るときに謝らないといけないというのは当たり前のことです。
そんな当たり前のことをいまさら言って...と思われるでしょうが、これが高校生時分の自分には難しかったのです。わたしと同じように、その当たり前の謝罪が出来なかったために悩む人の姿が、当時の苦々しい記憶を呼び起こすのに十分なほどとてもはっきりと、そして正確にこの本の中に描かれていました。その描写の正確さには「きっと森さんにもこんな想いがあるのかも知れない」と思わせるほど精密さが感じられました。何だかこんなにも正しく描かれてしまうと、多くの人が経験する普遍的なテーマなのかも知れないなと感じます。


こういう、記憶のリンクが途切れた部分へのリンクがよみがえる瞬間って本当に不思議な気分です。
読書はこんな経験も出来るから止められません。