ウォンテッド


ウェスリー(ジェームズ・マカヴォイ)は、変化のない仕事に行き詰まり、ガールフレンドにもフラれ、自分の人生に嫌気を感じていた。彼に足りないもの、それは人生の不運に耐え抜くための“何か”だった。だが、謎の女・フォックス(アンジェリーナ・ジョリー)が現れた日を境に、彼を取り巻く環境が一変。話によれば、ウェスリーが、アキレスの時代以来、神に代わり「運命の意思(will of the Fates)」を実践してきた、秘密の暗殺者組織の王位継承者であるという…。ウェスリーは、堕落、私欲、裏切りが渦巻く世界で戦い抜くだけの潜在的超能力を覚醒しなくてはならない――。『ナイト・ウォッチ』シリーズのティムール・ベクマンベトフ監督が、アンジェリーナ・ジョリージェームズ・マカヴォイら豪華キャストを迎え、マーク・ミラーの同名人気グラフィック・ノベルを最新VFXを駆使して映画化。

『ウォンテッド』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。
この作品、実は昨日の夜までぜんぜん観る予定にありませんでした。
最近は何の作品を観にいってもこの作品の予告が流れていたので予告映像はかなりの回数観たし、公開開始後はテレビでCMを流したりしてたおかげで作品自体に触れる機会は非常に多かったのですが、いかにもハリウッド映画っぽい*1「へたれが覚醒して悪の組織に立ち向かう勧善懲悪ですっきり!!!」するっていう作品なんだろうという程度の感想しか持たず、到底観たいと思えるものではありませんでした。
ところが、今日はちょうどいい時間に観られる作品がこれしか無くてなんとなしに観にいったのですが、予想していたよりも44倍くらいよくて、もうわたしの見る目の無さにがっかりすると同時にこれはいろんな人に勧めたいなとつよく感じました。すごくおもしろかったです。


こういうことを言うと人のせいにしているみたいでとても気が引けるし、何より蒸し返すようでなんなのですが、この作品はアピールの仕方がとてもよくないんじゃないかと思います。
予告を見ていると、ウェスリーが一生懸命撃った弾を曲げる練習ばかりが記憶に残るし、それ以外だとドンパチ撃ち合っているシーンがほとんど。どう観たってこの作品の魅力の20%も伝わっているとは到底思えません。予告っておもしろくない作品もおもしろいように見せるもんだと思っていましたし、その逆があるというのは考えたこともありませんでした。だから予告がおもしろくなければ観にいくことはなかったのですが、こういう例外もあるんだと知り、とりあえず予告だけで判断するのは止めようと思ったのでした。


さて。話を作品に戻します。
わたしがこの作品でとてもおもしろいと感じたのは、「フラタニティ」という組織の存在とその描き方です。
1000人を救うために1人を殺すというその信念は一見とても崇高なようですが、冷静に考えてみるととても一方的だし傲慢で呆れてしまいます。さらにその殺す対象の選び方というのがある種のお告げ頼りであり、そのお告げの正当性をメンバーの誰もが疑っていないのです。
これはもう暗殺者集団ではなく、単なる宗教団体、それもカリスマとして君臨する教祖をあがめるカルトに類するような宗教集団にしか見えず、この作品を作った人たちはいったいどのようなことを表現したい/描きたいのか、とても不思議な気分で眺めていました。


で、結論から言うとこの作品の結末を観ていろいろなことを想像出来たし、そういう後半に向けた伏線だったんだと納得できました。
前半から推測される後半の展開と、実際の後半の展開の差異が非常に大きくて意外性あふれるとてもうまい構成だと思いますし、その転換部分でストーリーを破綻させずにちゃんとつながっていてとてもよかったです。

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*1:相変わらず思い込みが激しくてすいません