パコと魔法の絵本


昔々、大人の俳優に脱皮できずに人生を諦めてしまった元・有名子役の室町(妻夫木聡)、消防車にひかれた間抜けな消防士・滝田(劇団ひとり)、ジュディ・オングとうわさ話が大好きなオカマ・木之元(國村隼)、銃で撃たれて入院してきた傷だらけのヤクザ・龍門寺(山内圭哉)、どこかがおかしい堀米(阿部サダヲ)の患者メンバーをはじめ、ピーターパン気取りの医者・浅野(上川隆也)、タトゥー入りの看護師・タマ子(土屋アンナ)、顔は怖いがお金に弱い看護師・雅美(小池栄子)、その雅美の天然オトボケ亭主・浩一(加瀬亮)、そして一代で自分の会社を築いたかなりの偏屈ワガママジジイ・大貫(役所広司)といった変な人ばかりが集まる病院があった。その中で、一番の嫌われ者の大貫は、一日しか記憶を保てない少女・パコに出会う――。

『パコと魔法の絵本』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。
事故によって一日しか記憶がもたなくなった一人の少女と、その彼女の記憶に少しでも残ろうと奮闘するじいちゃんの物語。
予告やCMを観ていたらとてもおもしろそうだったので観にいきましたが、予想以上に楽しい作品でした。
絵本の中のワガママなガマ王子に自身の姿を投影し、自らを変えていこうとする大貫の姿にはぐっときたし、周囲の盛り上げ方もバカバカしくてとてもおもしろくてよかったです。さらに、公開前から話題になっていたアヤカ・ウィルソンですが、記憶は一日と保てないけれどとても明るく元気な女の子という役柄を非常にうまく演じていてまさに適役という印象を受けました。こういった現実とはちょっと距離感のある浮世離れをした世界観の作品にはうってつけの配役ですし、絵本を読むときのよくとおる凛とした声がとてもいいなと感じました。


この作品はとてもおもしろくて好きなのですが、でもきっと映画館で見たからこその感想なのだろうなと思うのです。周囲の人たちの笑う声に刺激されるようにどんどん作品が面白いようなそんな気分になっていきます。
もしDVDでこの作品を観ていたとしたら、たぶん始まって10分くらいで止めてしまっただろうなと思います。それほど観る環境に依存して楽しさが変わってくる作品だと感じるのです。もしDVDでいいやと思っている人がいたらぜひそんなことは言わずに、映画館で観た方がいいし、もしこの機会を逃してしまったら絶対に100%楽しむことが出来ない作品です。
あとでいいなんて思わず、ぜひ今すぐ映画館へ駆け込んでください。一緒に観にいってくる人がいるならぜひ連れて行ってください。
おもしろいものをおもしろいと素直に笑える人であればぜったいに損はしない楽しさなので、そんな人には熱烈にお勧めします。
# 逆に何でも冷静に分析するような人は楽しめないと思うので観ないでください


[追記]
この作品を楽しめるかどうかは、堀米を演じていた阿部サダヲさんが好きかどうかというのがひとつの指標となると思います。
わたしは彼のどこか無理をしているとしか思えないほど吹っ切れたキャラクターが好きなのでこの作品をとても楽しめました。



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