いつかパラソルの下で

いつかパラソルの下で (角川文庫 も 16-5)

いつかパラソルの下で (角川文庫 も 16-5)

またもや家族のかたちについて扱った作品。最近読んだ作品を一列に並べてみると、家族の在り方について悩んでいる人みたいでちょっと悲しいです。俺悩んでないよ...。


ある日突然父親の浮気相手が現れたら。しかもそれが自分と同じくらいの年だったとしたら。
きっと私はものすごくガビンとショックを受けるだろうな。父親のことは小さい頃から大好きだから、何だか裏切られたような気持ちになってしばらくはモンモンと眠れない日が続くに違いありません。あまり積極的には考えたくない、もしもの世界の出来事です。


そんなショックな出来事を人はどのように乗り越えていくのか。これは非常に興味深いテーマだと私は考えました。
数ヶ月前に「マイ・ブルーベリー・ナイツ」を鑑賞したときにも似たようなことを考えたのを思い出しました。

同じような辛い経験をしているのにそこから立ち直る手段が違うのは何でだろう?と未だに不思議でなりません。人それぞれと言ってしまえばそれまでですが、それぞれだからこそ、他の人がどのようなプロセスを経て心を再生させているのかというのは非常に興味深いテーマだと思います。

その点、今作でノラが取った「NYを離れて昼夜を問わず働いて辛い事を忘れようとする」方法はなかなか個性的面白かったです。

マイ・ブルーベリー・ナイツ - 子持ちししゃもといっしょ

挫折からたちなおるそのプロセスほど個性が出るときはないと私は思います。
だからこそ私は落ち込んでいる人を見つけると嬉しくなるし*1、その人がどのように復活の道を歩もうとするのかには非常に興味があります。


本書の内容に戻って、異常なまでに厳格だった父親の浮気をどう乗り越えるのか。
その答えが「父親の生まれ故郷にいってみる」というのはこれまた予想以上に個性的な対応方法であり、すごく楽しみながら最後まで読みきりました。
その父親の故郷というのが佐渡島だったのですが、父親の生まれ育った島を歩き回ったりイカイカ祭りを楽しむシーンは夏まっさかりの孤島という興奮度100%のシチュエーションに興奮しっぱなしでした。今年の夏は佐渡島だな。

*1:文字にしてみるとすごい嫌な奴だw