- 作者: 森絵都
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/06/28
- メディア: 文庫
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森絵都さんの著書を読むのは初めてですが、先日見る予定だったのに気付いたら上映が終わっていた「DIVE」の原作者ということもあって名前だけは知っていて妙に気になっていました。ページ数にしてわずか2,3ページの短編集が40篇も載っている、ボリュームがあるんだかないんだかとても分かりにくい作品ですが、挿絵がすごくかわいくて読みやすくて2時間ほどで読みきってしまいました。
さて。
いきなりあとがきの話題を出すのもなんですが、あとがきで森さんが面白いことを書かれていました。
一年間にわたる連載中は、とうとう最後まで一通も読者からの手紙が届かず、たいへん孤独でしたが、毎日新聞社の上村恭子さんと、理論社の平井拓さんのリードと支えでなんとかゴールできました。
たしかに個々の話は、ほとんどがオチのない話が多くて読者側から反応を示すのは難しいなと感じました。ただ、中には非常に面白い話もあって、例えば、「究極の選択」という話はあまりに予想外な展開に思わず噴出してしまうほどでした。玉石混合というと何だか失礼な気もしますが、でも40篇もあるわけですから中には気に入る作品も見つかるのではないかと思います。
それと読み終わって気付いたのですが、脈略もつながりもないストーリーをこれだけ一気に読むとそれぞれのストーリーひとつひとつが頭の中でそれぞれひとつの点として残ります。そして互いにつながる部分が少ないストーリーですからそれらが線でつながることはないのですが、そのつながらなさが世の中の広さ、ひいては広い世界を旅しているような不思議な印象を受けたのです。
夏の夜に寝転びながら、月明かりで読みたいなと感じました。