図鑑に載ってない虫


フリーライターの俺(伊勢谷友介)は、「月刊 黒い本」の美人編集長(水野美紀)から死後の世界をルポするために“死にモドキ”を探せと依頼される。相棒のエンドー(松尾スズキ)と、途中で知り合った謎の女性・サヨコ(菊地凛子)ともにそれを探す旅に出る。果たして“死にモドキ”は見つかるのか?そして“死にモドキ”とは何なのか――? 命を懸けたルポは完成するのか?命を懸けたルポに挑む3人の、摩訶不思議なサスペンス・コメディ。映画『イン・ザ・プール』、TVドラマ「時効警察」を手がけた三木聡が監督を務める。

『図鑑に載ってない虫』作品情報 | cinemacafe.net

宇都宮テアトルにて。

私が学生の時。同じ研究室に居た女の子に「id:itottoの発言は狙い過ぎなんだよね。普通にすればいいのに」みたいな事を言われて非常にガビーンと落ち込んだことがあります。よくよく聞いてみると、面白い事を言おうとし過ぎてて残念笑えません、という血も涙も無い冷酷非情な事実を述べているようでした。
何と心に突き刺さるアドバイス...。でも的確。そう、彼女の発言は正しい。だから反論なんて絶対に出来ないのです。


この時に学んだのは、結局「何を言ったかではなくて、誰が言ったか」なんだよなという事実です。その時私が言ってた事が面白いかどうかが(その時点では)問題ではなく、俺自身がそれまでに面白い人として認知されてたかどうかが問われていたわけです。そして私は面白い人ではないと。そう思われてたわけですね。はい、残念。


話がいきなり脱線してしまったのですが、結局この作品の笑いってそれが面白いかどうかという事よりも三木監督の笑いが好きかどうかによるんじゃないかなと感じたのです。
車の上の嘔吐物に火をつけてお好み焼きになるとか、「岡」という文字をじーっと見つめるとアザラシの顔に見えるとか、こぼしたイカの塩辛がニコラスケイジに見えるとか、もう、どういう事を考えながら生活していれば思いつくのかさっぱり理解出来ないネタが目白押しです。で、こういう小ネタが私にとっては地味に面白くて数分ごとに「プッ」と吹き出してしまいました。


こうやって面白いと感じるのは、私にとっては三木監督とはそれほどに面白い作品を期待させる人であり、また恒例の出演者の方々もその笑いを体現出来る人たちという認識が私の中でしっかりと根付いています。この作品で言えばチョロリ(ふせえりさん)なんてその最たるキャラクターでして、もう出てきて一言しゃべるだけで吹き出しそうになります。


そんなわけで誰にでもお奨め出来る作品ではないのですが、ささやかな笑いや小ねたが好きな人にはぜひお奨めです。


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