檸檬のころ

http://www.lemon-no-koro.com/



珍しくTOHOシネマズ宇都宮へ行って来ました。普段東宝系の映画は街中にある第一・第二東宝へ行くのですが、今回は舞台挨拶があったので特別です。舞台挨拶の感想は別に書いてありますのでそちらをご覧下さい。

吹奏楽部の指揮者の秋本加世子は何でも出来き、成績も優秀で東京の大学に進学すると決めている。野球部の西巧はいつも秋本を見つめていた。

そんな西に「オレ、加代ちゃんが好きなんだ」という同じく野球部でエースの佐々木富蔵。絡むことのない西と秋本の視線、近づく秋本と佐々木の距離。また秋本と同じ教室で音楽にのめり込んでいる白田恵は音楽ライターを目指し、白田と同じように音楽を感じている軽音楽部の辻本一也を知る。

二人は偶然出会い音楽談義で盛り上がる。もうすぐ高校最後の文化祭、辻本は作詞を白田に頼む。沢山の痛みを通じてあふれ出た白田の言葉が、秋本に響き、佐々木や西にも影響を与えていく。そして、五人それぞれの思いが交差していく中で季節は移り変わり、別れの日が近づいていた。

檸檬のころ - Wikipedia

「すべてが、きらめいていた」
そんなサブタイトルを聞いてチッと思った方。そんな方にぜひ見て欲しい。特別な日々ばかりがきらめいていたわけではなく、いい日もそうでない日も全てがきらめいていたのではないかと思うのです。


岩田ユキ監督が舞台挨拶で述べたこの言葉を、そのとおりだと実感できるような作品でした。


学校中の人気者の秋本加世子(榮倉奈々)とクラスには話が合う人が居なくていつも一人音楽を聴いている白田恵(谷村美月)。
立ち位置が全く対照的な二人が過ごす高校生活最後の9ヶ月が丁寧に描かれていて、その積み重ねがいつしか作品の中に完全に取り込まれているような気にさえさせてくれました。大きなイベントよりも多くの平凡な日常に重点を置くことが、よりリアルにその世界に浸りきる大きな要因だったと思います。
リンダリンダリンダ」が高校生活の一大イベントである学園祭に焦点を絞ったのに対して、この作品はあくまで日常へ焦点を絞っているのが対照的でした。リンダ...は一つの目的に向かって進むイベント達成系としてかなり面白い作品でしたが、「檸檬のころ」は映画の中に入り込んでしまう不思議な魅力を持っていました。
正直、見るまではあまり期待していませんでしたが、久々の大ヒットでした。「虹の女神」以来の大ヒットです。結局、私はこういう回顧物が好きなんだな...、思い出に浸る事が出来る作品がツボなんだな...と改めて自分の嗜好を丸裸にされた気分でした。


今回、この作品を見るまでは谷村美月さんの出演作品は見た事がなかったと思っていましたが一つだけ見た事があるようです。
(笑う大天使に出ていたそうですが全く気付きませんでした...)
というわけで彼女のことをまともに見るのは初めてだったのですが、印象に残る表情をする人だと感じました。
騒ぐクラスメートを煩わしそうに見ているときの表情、そして話してみたかった辻本(林直次郎)と話した後の帰り道のはっちゃけた時の叫び声(表情じゃないけど結構好きなので入れとくw)、そして秋元に歌詞を褒められた時の泣き顔。特に最後の泣き顔は喜びが滲み出ててとても良かったです。何か見てるこっちまで嬉しい気持ちになってしまいました。
この作品を見ただけで完全に魅了されてしまいました。これから多くの作品に出て欲しいと思います。ぜひ他の出演作(これから出る作品も含めて)をチェックしてみたいと思います。


映像自体の美しさも含め、本当に楽しめる作品でした。久しくこのくらい気に入った作品は無かったのでぜひもう一度見に行ってきます。
細かい感想は書くときりがないのでまずは一度見て欲しい作品です。