ジョゼと虎と魚たち

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虹の女神以降、上野樹里さんの出演作を探しては見ることにしてるのですがこれにも出ているということで早速見てみました。


まず感想ですが、この作品は池脇千鶴さんのための作品でした。
表情とドスの利いた関西弁で表現される彼女の佇まいに最初から最後まで引き込まれてしまいました。足が不自由という一見難しくて演技をする上で足枷になりそうな条件ですら見事に演じきっていました。
ジョゼ(池脇千鶴)は本当にかわいくないし口は悪いしで全然魅力的ではないはずなのに、その中にある魅力を全身で表現できるその力量は本当に圧巻です。


自然な演技というものではなく、ジョゼという存在を創生して表現するというの本当に感動しました。池脇さん、あんたすごいよ...。少ない言葉とわずかな表情。何であんなに多くの気持ちを伝えられるんだろう。あんなに優しさや強さを表現出来るんだろう。語彙がなくてこれ以上褒められないのが悲しいくらい感動しています。


あとはジョゼと一緒に施設に預けられてたっていうヤンキーは面白かった。あの人の事を調べてみたけど、なんていう人なのかわかりませんでした。夢に出てきそうな感じ。もうちょっと調べてみようっと。



もう一つ。近作に関して言えば、上野さんは特段目を引く存在ではありませんでした。妻夫木君がちょっと気に入ってるお嬢様という役柄でしたが、とても大学を卒業した年には見えなかったし、そもそも上野さんに「かわいい」という設定の役をやらせるのが間違っています。そこだけがちょっと残念でした。
それとベッドシーンがあるとは思っていなかったのですが、彼女自身当時まだ10代だということを考えればとても難しかっただろうと思います。ですが、不自然さを感じさせずしっかりと演じ切っているところに感心せずにはいられませんでした。こういった一つ一つの演技が今の彼女を構成しているんだなと感じずにはいられません。


この作品に限らず、最近気に入っていた作品全てを通して言える事は有限だったからこそ美しいということなんですよね。一瞬、それも過ぎ去ってしまった過去の一瞬だからこそその時間が光り輝いて見えるんだと。そのことに縛られるのではなく、その過去を想いながら、抱きながら生きていかないといけないんですね。今が辛いと、未来ではなく過去に想いを馳せる事の多い私には耳が痛い作品でした。


これを見たらどうしてもストロベリーショートケイクス見たくなりました。