「青春18×2 君へと続く道」を観てきた


18年前の台湾。高校3年生のジミーはアルバイト先で4歳上の日本人バックパッカー、アミと出会い、天真爛漫でどこかミステリアスな彼女に恋心を抱く。アミもまた、ある秘密を抱えながらもジミーにひかれていく。しかし突然アミの帰国が決まり、意気消沈するジミーにアミはある約束を提案する。

現在。人生につまずいて久々に帰郷した36歳のジミーは、かつてアミから届いたハガキを再び手に取り、あの日の約束を果たすべく日本へ向けて旅立つ。東京から鎌倉・長野・新潟、そしてアミの故郷・福島へと向かう道中で、彼女と過ごした日々の記憶がジミーの心によみがえる。

青春18×2 君へと続く道 : 作品情報・キャスト・あらすじ・動画 - 映画.com

一時期、台湾映画にめちゃくちゃはまったことがあります。川崎で観た「言えない秘密」という映画を観たことがきっかけでした。

さいきん邦画でもリメイクされたので作品を知っている人も多そうですが、もとは2008年に公開された台湾の映画です。
その日は横浜でMicrosoftの技術カンファレンスがあったので泊りがけで参加していたのですが、ホテルの近くにチネチッタという映画館があったので何かやってないかなと思って足を運んだらちょうど「言えない秘密」の上映直前だったのですぐにチケットを買って観たのでした。ポスターの雰囲気がいいなくらいの情報しか持たずに観た作品でしたが、突如始まるピアノバトルや謎の多い不思議な世界観がとにかくよくて見終えてもしばらくは作品の世界から抜け出せずにぼーっとしてしまうほどでした。

主演のジェイ・チョウグイ・ルンメイがとにかく魅力的で二人がスクリーンに映っているだけで見入ってしまったし、現代の日本から見るとやや過去の時代のようにも見える世界観がよくて2008年に観た作品の中でも指折りに大好きな作品になりました。

それからしばらくは台湾映画がどこかで観られないかといろいろ探し回ってみたものの、洋画に比べると上映頻度はとても少なくてほぼ観ることができませんでした。都内に出たとしてもほぼ観ることができなかったくらい少なかったので、宇都宮ではほぼ皆無でした。その渇望感からなのか、映画を観なくなったいまでも台湾映画と聞くとすごく気になってしまいます。


そんな程度には台湾映画のことが好きなので、台湾と日本が合同で制作したという本作はまさに自分の嗜好ぴったりの作品でした。


本作は台湾にバックパッカーとして訪れたアミが、ジミーの働くカラオケボックスでアルバイトすることになって徐々に二人の仲がよくなっていく過去・台湾のシーンと、その18年後に日本を訪れたジミーが日本のあちこちを旅しながらアミが住んでいた地へと向かう現在・日本のシーンを何度も行き来しながら物語が紡がれていきます。

元気ですぐに誰とでも仲良くなれるアミ、そしてそんなアミにジミーが惹かれていく台湾パートは、出会った男女が一緒に過ごす中で仲良くなるというありがちなものでありながらも台湾の日常を背景に描かれることでどこか特別感のあるものとして感じられました。遠くに旅をしにきているアミと、遠い国からやってみた異性に心惹かれるジミー。ジミーがバイクにアミを乗せてあげたりいっしょに夜市に行ったり、そんな二人を見ているだけでとても気持ちが盛り上がってしまいます。

一方で、18年後のジミーはというと自分の作った会社を追い出されてしまい、失意の中で日本を訪れて旅をしながらアミのもとへと向かう様子が描かれます。
アミが台湾から帰った後のことはまったくわからないのですが、あれだけ思いを寄せていたアミのもとにまっすぐ行かずに日本のあちこちを旅する様子を見ているとこれはアミに何かあったのではないかという不安を感じるのですが、一方で旅の中ではいろいろな人と出会って新たなつながりを得ながら日々を過ごします。

台湾パートが特定の場所を中心に描かれていたのに対して、日本パートはロードムービーのように日本のあちこちを旅する様子が描かれていてこの対比にはどういった理由があるのだろう?と思いながら見てました。アミにまっすぐと会いに行けなかったジミーの心中をある程度正確に想像できるのは作品のラストになるのですが、アミが台湾を旅してジミーに出会った旅が1度目の青春であり、ジミーが日本のあちこちを旅してアミの生まれた場所で出会うための旅が2度目の青春の旅だったんだなと思ったらこのタイトルの良さを再認識しました。

自分も歳を重ねたせいなのか、あのときこうしてたら、こうできてたらと思うことがたくさん増えてきて過去を振り返ることが楽しいと思えなくなってきました。
それでも自分が過ごしてきた時間と向き合えるのは自分だけで、それができるのは自分が生きている間にしかできないことなのでどこかで過去の後悔ややり残しと向き合わないといけないんだろうなと思いました。

やっぱり台湾映画は自分にとって特別な感情がわいてくる作品が多いです。


(この作品を観るに至った経緯)
itotto.hatenadiary.com