貧血から立ち直るためにやった4つのこと

明日は4月のかすみがうら以来、半年ぶりとなるフルマラソンを走ってきます。



数えてみると今回で9回目のフルマラソンですのでいい加減フルマラソンが特別なものではなくなりつつあるのですが、一方では前回、前々回のフルマラソンである佐倉、かすみがうらで極度の貧血のせいで途中からまともに走れなくなるということを経験してしまったためにフルマラソンを走ることに対してものすごい恐怖心があります。

では貧血状態でフルマラソンを走るとどうなるのかといえば、呼吸がすぐに上がってしまい、足が重くなってすぐに動かなくなります。もし、これがただ苦しいだけであれば気持ち次第でがんばることができるし長距離走というのはそういう苦しさとの闘いであり、それに打ち勝つことが醍醐味であるとも言えるわけですから苦しいときこそがんばろうと思えます。

でも貧血になると自らのやる気だとか意思とはまったく関係なく体が動かなくなっていくのです。

本来であればもっと速く、そしてもっと長い距離を軽々と走れるはずなのに体が動かなくなって走ることすらままならなくなるという状況は想像以上につらかったです。あのときの肉体的、精神的なつらさは忘れようと思っても忘れられません。


そんなわけで貧血になって以来、走ることが怖かったし、大会に出ることも怖くなりました。
大会に出てもジョギングみたいなペースでしか走れなくなって走ることが徐々に楽しいことではなくなってしまいましたし、走ることが嫌いになりそうでした。


そんな状況から半年かけてまたフルマラソンを走ろうと思えるようになりました。
貧血の恐怖はまだ忘れることはできませんが、でもいまの自分ならきっとフルマラソンを楽しく走り切る自信がありますし、むしろいまの自分がどこまで走れるようになったのか試してみたいとさえ思っています。


そんな心境の変化を生むためにこの半年でやってきたことをまとめておこうと思います。


1. 貧血を治す

これはもう当たり前ですが、貧血を治さないことにはまた走り出すこともできませんので病院に通って貧血を治しました。

(過去に書いたエントリー)


とりあえず貧血かどうか検査をしたところ、鉄欠乏性の貧血であることがわかったので鉄剤を飲んで鉄を補給することにしました。そしてこれと並行して、そもそもなんで貧血になったのかを調べるために胃と大腸にカメラを入れて検査をしましたが結局原因は不明でした。どこからも出血はないし問題ないという結論に達したのでとりあえず鉄剤を飲み続けて改善を期待することにしました。


結局、2か月くらい鉄剤を飲み続けたところなんとか貧血状態が解消されたためそこからは薬の投与も止めていまに至っています。あれから検査をしていないのですが、自分の感覚としてはまったく問題はないし気持ちよく走れています。


とりあえず困ったら病院で相談するのが一番です。
自分でどうにかしようとせずにまずは数値で自分の状況を知り、そこからどう改善していくのかを考えるのがもっとも合理的で回復も早いです。こういった体調不良に対して我流で対応してもいいことはなにひとつありません。


2. 遅くてもいいから長い距離を走る

まずは遅くてもいいので長い距離を走ることから始めました。
長い距離というとどのくらいかと思われるかもしれませんが、まずは15kmから20km程度でもだいじょうぶです。ペースは遅くてもかまわないのでとにかくこの距離を歩かずに走り切ることができることを確認します。


わりといろんなところで言われているのですが、サブ4*1を達成するにはスピード練習はいりません。サブ4は1kmあたり5分40秒程度のペースで走り切れば達成できるので、スピードよりもまずは長距離を走ることができる脚作りをすべきだとよく言われます。

わたしもこの考えには賛成で、フルマラソンを走るうえで最初に重視すべきなのは脚作りであり、長い距離を歩かずに走ることができるという自信をもつことが大事だと思っています。


以前は10km以上の距離はあまり走らなかったのですが、貧血が治ってからは15km〜20kmの距離を週3くらいで走るようになりました。これを繰り返したことで「ハーフくらいであれば仕事が終わってからでもふつうに走り切ることができる」と考えるようになったし、長距離を走る自信がもてるようになりました。

3. 楽しい大会に出て恐怖心を克服する

とりあえず貧血の治療はして練習を再開しましたがやはり一度こびりついた恐怖心はなかなか抜けません。
そのためまずは大会にたくさん出てあの空気に慣れようと考えたのですが、この恐怖心が邪魔をしてなかなか最初の一歩を踏み出せませんでした。大会に出ること自体が怖いんですからそりゃそうですよね...。


そんなときに山形の尾花沢市で開催される「全国花笠マラソン」という大会があることを知りました。
この大会はエイドステーションがとても充実していてすごく楽しい大会だということを聞き、それだったら走れるかもということで思い切ってそれに申し込んでみました。

これがめちゃくちゃ当たりでして、地元のお祭りが併催されているとても楽しい大会でして最初から最後まで楽しく走ることができました。いっしょに走った妻や子どもたちはエイドステーションに入り浸るありさまでしたが、おいしいものをたくさん食べてすごい楽しかったと喜んでいて、その様子を見ていたら自分もすごくうれしくなりました。

その後も記録狙いの隙間にこういう楽しい大会をねじ込むことで*2、少しずつ大会に出ることに対する抵抗をなくしていくことができました。


4. 結果を出して自分の走力が元に戻っていることを確認する

そして最後はやっぱりタイム。


どれだけ大会に出てリハビリを繰り返しても、走力が戻っていることを実感できなければ以前と同じように走ることはできません。たとえ練習でそこそこ走れるようになったとしても「本番になったらまた走れなくなるんじゃないか...」という不安がぬぐいきれませんし、その不安が心の中に棘のように刺さってぬけないままです。


そういうときは5kmでも10kmでもハーフでもいいので以前よりも速いタイムで走り切るのです。


いろんな人に励ましてもらうことはうれしいしモチベーションにはなるけれど、でも自分はフルマラソンを走りきれるんだという自信になるのは周囲からの応援ではなく自分が望むだけのタイムを出せるという事実だけです。自己ベストタイムが出せるという事実だけが失った自信を埋めてくれました。



毎年参加している大会では過去最速のタイムをいくつも出しましたし、初めて出る大会でも納得できるタイムを出し続けました。そしてそのひとつひとつの積み重ねがわたしの中で「もう前よりも速く走れるんだ」という自信になりました。

まとめ

そんなわけで明日は過去最良のコンディションでフルマラソンを走ってきます。

フルマラソンを走るときは毎回目標タイムを立てるのですが、明日は目標タイムは立てないことにしました。
まずは自分のもっている力を全部出し切ることができるようがんばります。タイムはおまけ。

*1:フルマラソンを4時間以内に完走すること

*2:7月の嬬恋キャベツマラソン、8月の藤原湖マラソン、9月の羽鳥湖マラソンが楽しい大会の一例です