「ブルックリンの恋人たち」見たよ


ロッコで人類学の博士号を目指すフラニー(アン・ハサウェイ)は、ミュージシャン志望の弟のヘンリー(ベン・ローゼンフィールド)が交通事故で昏睡状態に陥ったという知らせを受け、急きょ家族が暮らすN.Y.へと戻ってくる。大学を辞めてミュージシャンになると言った弟に反対し、大喧嘩になって以来、疎遠となっていたフラニーは、弟の意識が戻る可能性は低いと医者に聞かされ、動揺する。自分がいままで弟のことを何も知らないでいたことを悔やみ、彼が何を感じてきたかを知ろうと、フラニーは弟の日記を手に、バイトをしていたギター店、ガールフレンドと一緒に行った食堂、ライブハウスなど足跡をたどっていく。ある日、ライブハウスで、彼が憧れるミュージシャンのジェームス(ジョニー・フリン)と出会ったフラニー。やがて、音楽を通して互いに惹かれ合っていくが――。

『ブルックリンの恋人たち』作品情報 | cinemacafe.net


ずっと大好きなアン・ハサウェイが主演+プロデュースするということで楽しみにしていましたが期待以上によい作品でした。


ロッコに住み、現地の人たちとともに生活しながら博士号を取るために研究を続けているフラニーは、ある日離れた場所で暮らす弟が事故にあって意識を失ったという連絡を受けます。

真面目で頑固、初志貫徹なフラニーと、学校を辞めて音楽で食べていこうという夢を追い続けていた弟のヘンリー。

正反対と言ってもいいくらいまったく性格の合わない二人は、物理的にも精神的にも距離をおいていたわけですが、音楽を聴きながら歩いていたヘンリーは事故にあってしまいいつ目が覚めるとも分からない昏睡状態に陥ってしまうのです。

ずっと仲が悪くて弟のことなんて気にしてないしどうでもいいくらいに思っていたはずなのに、いざその相手と二度とコミュニケーションを取れないかも知れないという状況におちいってしまった途端に事の重大さにショックを受けるフラニーの行動って個人的にはすごく分かるなーとつよく共感をおぼえました。


わたしには2つ年下の弟がいるのですが、これがびっくりするくらい性格が違っていて家族じゃなければたぶん話すことなんてないだろうっていうくらい似てません。小さいころはわりと仲が良かったはずなのですが、「堅苦し過ぎるわたし」と「柔軟過ぎる弟」はお互いのことが煙たくて高校生になったあたりから家の中でも会話もしなくなりました。


その後、わたしが実家を出て一人暮らしするようになったあたりからお互いの嫌なところも許せるようになっていつしかわりと仲良く行き来するようになったのですが、もしあの仲たがいをしていた時期に弟と二度と話すことができない状態になったとしたらきっと仲たがいしていたことを心の底から後悔していただろうなというのは容易に想像できます。

性格が合わないから...なんて言わずにもっと相手のことを知ろうとすべきだったんじゃないか?なんて考えてしまい、コミュニケーションを拒絶したことをずっと悔いて生きていくことになっただろうと思うし、だからフラニーの気持ちは痛いほど伝わってきました。


弟が昏睡しているその間、弟と離れて暮らしていた時間を埋めるかのように「弟が見ていたもの」や「好きだったもの」をひとつひとつ確認しながら毎日をダラダラと過ごすフラニー。離れた地でわずかな時間も惜しんで研究にいそしんでいた彼女が、大事なものを失いそうになったことで、自らが本当に大事にしなければならなかったものがなんなのかに気付いてそれを取り戻すことに執着し始めるというのはすごくわかるなと共感をおぼえました。


自分の気持ちの向くままに興味をフォーカスして生きてきたフラニーが、まったく違う生き方をしていた弟の人生に目を向けて、それを追体験する形で彼の人生を知ろうとするところがすごくいいなと思ったし、そんなふうに過ごす彼女にとっての日々を過度にドラマチックにすることなく、とても丁寧に描いていたところにとても感動しました。

ラストもすごくよかったですし、見てよかったなとつよく思える作品でした。


それにしても、原題の「Song One」がシンプルながらこの作品のことを正しく表現しているのに対して、邦題がなんかちょっとイケてなさすぎてもったいないなーという印象を受けました。


@TOHOシネマズ宇都宮で鑑賞



公式サイトはこちら