結成12年目、いまだ鳴かず飛ばずのお笑い芸人「房総スイマーズ」。これまで、コンビの今後について真剣に話すことを互いに避けてきたふたりも、気がつけば30歳。お笑いに懸ける思いは本気だが、もう後がない2人は何とかして変わるため、、「交換日記」を使ってコミュニケーションを取り始めた…。
『ボクたちの交換日記』作品情報 | cinemacafe.net
MOVIX宇都宮で観てきました。
大好きなうっちゃんが脚本・監督を務めるということで楽しみにしていましたが、お笑い芸人の舞台裏やコンビとしてやっていくことや売れないまま続けることの大変さがリアルに伝わってくる作品でした。と言っても、おおむね一般人が想像するお笑い芸人の生態以上の内容ではないのですが、事務所を止めて売れ出した後輩の出ている番組の前説をするシーンだとか事務所が売り出しているアイドルとのバーターだとか、シチュエーションの提示の仕方や見せ方がとてもうまくて本当に売れない芸人の生活をのぞきみているような気分になってしまいました。
テレビ局の片隅で控室を与えられることなく弁当を食べているところとか、そこを局の人が通るとたとえ食事中であっても正座しておつかれさまですというところはなんかすごく切なくてしんみりしました。仕事を発注する側と受注する側ですからしょうがないんですが、こういう「一方が一方を一方的に選ぶ権利がある関係」が見て取れるシーンは正直苦手です。しょうがないんですけどね...(二回目)。
話がそれちゃいました...。
30歳と言えば、普通に会社勤めをしている人でも、果たしてこの会社にいていいのかどうか?いまのままでいいのか?と悩む時期です。元来、あまり物事を深く考えない私ですらそう考えて転職活動しましたし、周囲でもそのくらいの年齢で人生の方向転換を図った人を多く知っています。それなりに安定した生活をしている人ですらそうなんですから、売れなくて不安定な生活を強いられている芸人であれば、30歳という節目を迎えて思うところがあって当然だと思います。
そういった悩みを持つことや何かしなければと焦る気持ちには共感をおぼえつつ、だけど「だから交換日記しよう!」という展開には「あー、そういう発想はなかったわw」と意外性を感じたしおもしろいなと感じました。そして日記のやり取りをテンポよく繰り返すことで物語にもリズムが生まれていたのはすごくよかったです。
ただ、そういったおもしろい試みだと感じる部分はありつつも、全体としては残念な作品だったかなと。
たとえばこの作品では高校時代から50歳くらいまでを一人の人が演じ続けるのですが、正直普通にやったら無理があるんですよね。高校生役はいいとして、50歳の役にもそれほどメイクに力を入れているわけでもなく、何となく年を取ってそうなメイクで済ませているのは正直なにか悪い冗談かと思いました。まあ別に冗談でもなんでもいいんですが、もうちょっと状況を正確に伝わるように見える努力は必要だったんじゃないでしょうか。
それでもうっちゃんらしいなーと感じる演出がちらほらとあったのはうれしかったし、だから好きか嫌いかで言えば好きな作品なんですけどね。
ただ、わたしのようにうっちゃんが大好きだという人やキャストの誰かに異常に思い入れがあるという人以外にはおすすめできません。
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