「LOVE まさお君が行く!」見たよ


売れない芸人松本君(香取慎吾)はある番組出演が決まって大喜び。しかし、その番組は芸もなくただの食いしん坊の犬・まさおが主役の動物番組だった。まさおに振り回され、笑いも取れず、とうとう相方にも彼女にも愛想を尽かされた松本君。だがある日、ロケで無茶をして怪我をした松本君に、一目散に駆けつけてくれたのはまさおだった。犬とコンビを組む決意を固めた松本君は、お茶の間の人気者へと大変身! そんなある日、まさおに命にかかわる病が発覚して…。

『LOVE まさお君が行く!』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮で観てきました。


たいていの作品はあらすじをざっと読むか予告をみればどういう人をターゲットにしているのかすぐにわかるのですが、たまに「誰がこんなん観に行くんだよ...」と口をついて出てしまう作品があります。あまり具体的な作品名を挙げてしまうと、紛糾したり炎上しそうなのであえて踏み込まずにおきますが、わたしはそういった危うい作品を見つけるとつい「おれが見に行かなきゃ!」という使命感に駆られてしまいます。


だから、先ほどの「誰がこんなん観に行くんだよ...」という言葉の先頭には接頭語が付くことになり、「(俺以外に)誰がこんなん観に行くんだよ...」というのが正しくわたしの心境をあらわす言葉となります(すいません、ちょっと大げさに書いてます)。


わたしが微妙な映画を積極的に観ようと思うのには大きく2つの理由がありまして、ひとつは注目されていない映画の中からおもしろい映画を見つけて拾い上げたいと思っているからであり、もうひとつはそういう話題にならない作品にいいようのない愛着を感じるからです。


前者はこの言葉どおりなので特筆すべき点はありませんが、問題は後者なんですよね。


おもしろいと評判の映画って放っておいてもみんな観に行きますし、つまんないと酷評されている映画もどこかで話題になればわたしみたいな物好きが観に行くのでまあいいんですが、一番悲惨なのは話題にものぼらずに消えていく作品なんですね。

たとえば「ドットハック 」や「小さな哲学者たち」って観たという人がほんと少なくて、話題にのぼっているのを見たことがありません。公開規模の問題があるにせよ、こういうおもしろい作品が話題にものぼらずに消えていくのを見ると胸がキューっと締め付けられるように苦しくなります。


そういった話題にならない作品を映画館で観て、おもしろかったら一生懸命に声をあげて褒めるし、おもしろくなかったら「ちゃんと劇場で観たよ。だから安心して成仏しろよ。」と弔うのがわたしの役割だと勝手に思いこんでいます。


さて。
全然映画の内容に関係ないことを書きすぎて自分でもびっくりしているのですが、あまりに地雷臭ただよう予告だったためか、公開後一週間まったく噂をきかない「LOVE まさお君が行く!」を見てきました。


まず率直な感想としては、予想、覚悟していたよりはかなりおもしろくて楽しく鑑賞できました。

もちろんおもしろいからおすすめ!と言えるような作品ではありませんが、この作品にはまだうまく言葉には置き換えられない魅力が隠されているような気がしていて、内容のいまいちさに比べると不思議なくらい鑑賞後の気分は悪くなかったです。


そして主演の香取君についてですが、彼の出ている作品を観るのは西遊記以来と超ひさしぶりなのですが、以前と変わらず演技はあまりうまくないと感じました。

ですが、その点についてはこの作品における"冴えないお笑い芸人"という配役が功を奏し、彼の演技の拙さがちょうどその設定とマッチしていて違和感が感じられなかったのはよかったのかなと。そんなわけで演技力不足による違和感はほとんど感じられなかったものの、ラスト近くで松本君がピンでお笑いの舞台に立って話すシーンでは力不足を露呈してしまったように感じられました。

あのシーンのような、その人の感情の機微を伝えようとするところは、彼の量不足がつよく感じられて観るのが辛く感じました。香取君、まるで罰ゲームさせられてるみたいだったな...。


くわえて、ストーリーは全体的に完結でわかりやすいものの、まさおと松本君が中を深めていくプロセスや視聴者に受け入れられていく部分の描写が不足している点が少々残念でした。
詰め込みすぎてたわけじゃないけど...。


そんなわけで突っ込みどころは多々ありしたが、笑いあり、涙ありの概ね及第点に達しているよい作品でした。



ただ、好きかどうかを問われると答えに窮するのですが...。
でも嫌いじゃない!嫌いじゃないよ!


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