2012年に読んだ本は100冊、読んだページ数は30,092ページでした。
冊数が例年の3分の2ほどと、かなり読書読書がおろそかになっちゃった1年でした....。映画を観たり走ったりするのが楽しくて、読書の時間が取れなかったのが敗因だったと思っています。
そんなわけで母数は少ないのですが、その中でもとりわけおもしろかった本を20冊選んで並べてみました。
ルール
昨年同様、新作・旧作問わず「今年私が初めて読んだ本」から選ぶことにしました。
ただし本の種類については小説に限定せず、新書やビジネス書も含めることにしました。実用書と小説を並べて順番付けするのはちょっと抵抗があったのですが、冊数が100冊と分けてランク付けするほど多くなかったのでとりあえずまとめてのランキングにしました。
1位 よろこびの歌
- 作者: 宮下奈都
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2009/10/17
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 33回
- この商品を含むブログ (27件) を見る
twitterでおもしろいよと教えていただいたので軽い気持ちで手に取ってみたのですが、さりげない日常に配置された「気づきの瞬間」を見事に切り取って描いていたすばらしい作品でした。
いままで当たり前のようにそうだと思っていたことが単なる思い込みでしかなく、実はもっと違う姿があったことに気づいた瞬間に訪れる視点の大きな変化。それはまさに「パラダイムシフト」とでもいうべき大きな価値観の転換の瞬間でもあるわけですが、その人にとっての「人生のターニングポイント」とでも言うべき一瞬を見せ、感じさせてくれる一冊でした。
「よろこびの歌」読んだよ - 子持ちししゃもといっしょ
2位 教室に雨は降らない
- 作者: 伊岡瞬
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/09/25
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (7件) を見る
音楽の道を志しながらもその道に進めなかった男性が、小学校で臨時教員として働くというお話でしたが、学校という場所の特異性がとても真正面から描かれたおもしろい作品でした。
(読了日)2012/12/29
3位 ダウン・バイ・ロー
- 作者: 深町秋生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/05/15
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 186回
- この商品を含むブログ (17件) を見る
ノンジャンルな感じが「捜査官X」っぽくてよかったし、田舎というか東北地方のもつ空気がものすごい濃度で埋め込まれていて、読みながらその懐かしい空気にしばし浸ってしまいました。
「ダウン・バイ・ロー」読んだよ - 子持ちししゃもといっしょ
4位 贖罪
- 作者: 湊かなえ
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2012/06/06
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 61回
- この商品を含むブログ (42件) を見る
趣味も後味も悪いとしか言いようのない作品でしたが、湊さんお得意の独白形式で紡がられる物語は相変わらず読みやすい上におもしろくて、あっという間に読み終えてしまいました。
「贖罪」読んだよ - 子持ちししゃもといっしょ
5位 空想オルガン
- 作者: 初野晴,丹地陽子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2012/07/25
- メディア: 文庫
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
(読了日)2012/12/26
6位 コロヨシ
- 作者: 三崎亜記
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/12/22
- メディア: 文庫
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
(読了日)2012/03/02
7位 LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?
LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか? (マイナビ新書)
- 作者: コグレマサト,まつもとあつし
- 出版社/メーカー: マイナビ
- 発売日: 2012/11/27
- メディア: 新書
- 購入: 5人 クリック: 304回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
あるネットサービスに限らず、なにかを分析するさいにはこういった複数人の視点から多角的に切ってみるのはとても有効的だなと思ったし、そういえばこういうふうに書かれた本って読んだの初めてかも知れないなとも思いました。
いい意味でも悪い意味でもLINEに興味がある人は一読の価値がある一冊だと思います。
「LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?」読んだよ - 子持ちししゃもといっしょ
9位 武士道エイティーン
- 作者: 誉田哲也
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/02/10
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 19回
- この商品を含むブログ (38件) を見る
人に歴史ありという言葉のとおり、どんな人にもその人が生きてきた分だけの歴史があるわけで、それを知ることでその人の発言の本意や裏にある考えをうかがいしることができる場合もあります。この作品で描かれた世界を総括するという意味でも、メインキャラクターだけでなくサブキャラクターのバックボーンも描いてくれたのはよかったと思います。
「武士道エイティーン」読んだよ - 子持ちししゃもといっしょ
11位 ファントム・ピークス
- 作者: 北林 一光
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/12/25
- メディア: 文庫
- クリック: 15回
- この商品を含むブログ (30件) を見る
山で次々と起きる行方不明事件を描いた作品でしたが、たいへんおもしろかったです。
まるで神隠しのように忽然と人が消えてしまうという展開はとてもスリリングそれだけでも興味を惹きつけるのですが、その消えてしまう部分の描き方がとにかくすばらしいのです。
例えるならば、なんてことのない日常を過ごしているときに不意に現れる深く掘られた落とし穴。その穴に足を踏み込むまでまったく気づくことはできず、気づいた時にはもうなすすべなく落ちてその生を終えることになる理不尽さ。
「ファントム・ピークス」読んだよ - 子持ちししゃもといっしょ
12位 戸村飯店 青春100連発
- 作者: 瀬尾まいこ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/09/20
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
わたし自身は家族を特別な関係だとは思いたくなくて、家族というのはあくまで他者との関係をあらわす種類の一つだと思うようにしていますが、でも実際には家族や血縁というのはとても特別な関係だという一面もあるし、そういったことを数々のエピソードをとおして伝えてくれたのはとてもよかったかなと。
戸村飯店青春100連発 - 子持ちししゃもといっしょ
13位 自分でやった方が早い病
- 作者: 小倉広
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/05/25
- メディア: 新書
- 購入: 8人 クリック: 485回
- この商品を含むブログ (34件) を見る
本書はこの手の新書にありがちな釣りタイトルでは決してなく、「自分でやった方が早い」という考えのどこが悪くてどういう人がそう思いがちなのか、そしてどうすれば改善できるのかということがきれいにまとめられたよい本でした。
「自分でやった方が早い病」読んだよ - 子持ちししゃもといっしょ
14位 もしも、私があなただったら
- 作者: 白石一文
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/07/10
- メディア: 文庫
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
6年前に辞めた会社の同僚の奥さんが訪ねてきて「あなたとの子どもを産みたい」と告げるという、なかなかセンセーショナルな出だしを見せる本作ですが、作品全体としてみれば中年の色恋事情を丁寧に描いた落ち着いた作品でした。では私自身が好きかどうかと問われると、「こういうのが大人の恋だ」という押し付けがましさに鼻白んでしまったというのが率直な気分ですが、「君はどう思うか知らないけれど世界はこんなふうに動いているんだ」という上から目線な内容はわたしは嫌いではありません。
扱っているテーマは違えども、人ひとりの人生を要約されたら消えてしまうようなところまできっちりと描いているところは白石さんらしい内容だと思うし、それをわたしは読みたいんだなとあらためて感じました。
「もしも、私があなただったら」読んだよ - 子持ちししゃもといっしょ
15位 ふたりの距離の概算
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2012/10/17
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
(読了日)2012/08/08
16位 ツナグ
- 作者: 辻村深月
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/08/27
- メディア: 文庫
- 購入: 8人 クリック: 69回
- この商品を含むブログ (71件) を見る
(読了日)2012/10/25映画感想
17位 それもまたちいさな光
- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/05/10
- メディア: 文庫
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
(読了日)2012/06/23
18位 出会い系のシングルマザーたち―欲望と貧困のはざまで
- 作者: 鈴木大介
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2010/03/01
- メディア: 単行本
- 購入: 13人 クリック: 482回
- この商品を含むブログ (38件) を見る
(読了日)2012/04/15
19位 だれかのいとしいひと
- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/05/01
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 44回
- この商品を含むブログ (130件) を見る
話がかなりそれてしまいましたが、本書は上記の紹介文では「恋愛を描いた短編集」として紹介されていますが、読んでみて感じたのは記憶の不思議さを柔らかな言葉で表現した作品集だと感じました。ふとした瞬間、ある何かをトリガーに想起される記憶がもたらす得も言われぬふしぎな感覚がこの作品ではうまく表現されていてとても感心しました。
「だれかのいとしいひと」読んだよ - 子持ちししゃもといっしょ
20位 オンナを降りない女たち オトコを降りる男たち
- 作者: 亀山早苗
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (2件) を見る
話を本書に戻すと、世の中にはオンナであることをさっさと放棄したいと願う人がいる一方で、いつまでもオンナであることを捨てられない人もいて、後者の生き方というのはいつまでも過去をひきずる生き方であってなかなかしんどいなと読んでて思いました。そして「血脈の火」で描かれていた夫となかよく過ごしているように見えながらも浮気をしてしまう女性というのは、いつまでもオンナであることを捨てきれない後者のような女性なのかなと思ったのです。
生き方としてどっちがいいとか悪いということではなくてあくまで生き方の選択でしかないんですが、この本を読んでいたらその生き方について想いを馳せずにはいられなくなりました。
2012年10月に読んだ本 - 子持ちししゃもといっしょ
-
-
- -
-
去年もそうでしたが、今年も感想書いてない本が多いことにいまさらながらがっかりしちゃいました...。
2013年は読んだ本の感想をちゃんと残しておけるようにがんばりたいです。