「ブラック・ブレッド」見たよ


スペイン内戦後のカタルーニャ。ある日、森の中で11歳の少年・アンドレウは血まみれになった親子の死体を発見する。内戦の勝ち組と負け組みが共存するこの村では、心に深い傷を負った大人たちがひた隠しにする事実があった。裸で森を彷徨う美しい青年、教師と関係を持つ指先を失った従妹。そして語り継がれる洞窟の怪物“ピトルリウア”の伝説。神話的な世界が現実と溶け合うカタルーニャの風景の中、残酷な真実を前にして、少年が最後に下す決断とは…?

『ブラック・ブレッド』作品情報 | cinemacafe.net

宇都宮ヒカリ座で観てきました。

いつもどおり予備知識なく映画館に観に行ったのですが、割と衝撃的な内容に観終えてしばらくはどうしたらよいものかと途方に暮れてしまいました。冒頭の馬車が襲われて崖の下に落とされるまでの一連のシーンのあまりのリアリティには言葉を失うほど衝撃を受けましたし、ここから最後まで気の緩むところのない作品でしてとてもよかったです。


さて。

最初でも書いたとおり、本作はストーリーそれ自体はとても重苦しい内容であり、しかもそれがリアリティある映像で紡がれています。率直に言って、わたしはこういう話がどちらかというと苦手だしそれがリアリティある映像で語られると観ていられないと思うことが多いのですが、この作品に限っていえば最後までしっかりと観ていられたし物語をしっかりと受け止めていい作品だったと思えたわけで、それがちょっと不思議だなと感じました。

その理由について考えてみたのですが、おそらく世界観がどこか現実離れしているからかなと思ったのです。

世界観が現実離れしていると言いながら、作品にリアリティがあるというのは矛盾しているような気もするのですが、世界観そのものは自分の世界とまったく違うけれど、そこで描かれている世界には「こういう世界がどこかにある」というリアリティがあるという意味です。


決して明るい話ではありませんし、今年観た作品の中では「灼熱の魂」に次ぐくらい後味のよくない話でしたが、でもすごく刺さる部分のあるいい作品でした。これはまた観たいな。



ちなみにこの映画を観に行って一番びっくりしたのは、観客が14人もいたことです。

ヒカリ座ってたいていMAXでも5人くらいしかいないイメージがあって、1人で観ることも決して珍しくないのであんなにたくさんの人がいたことに驚いてしまいました。シネコンでかかったメジャーな作品よりもこういうシネコンがフォローしていない作品の方が人が入るのかななんてあれこれ考えながら帰ってきました。


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