「屋根裏部屋のマリアたち」見たよ


1962年、パリ。株式仲買人のジャン=ルイ・シュベールは、妻・シュザンヌが雇ったスペイン人メイドのマリアを迎え入れる。彼女は、シュベール家と同じアパルトマンの屋根裏部屋で、同郷出身のメイドたちと暮らしていた。懸命に働くスペイン人メイドたちに、次第に共感と親しみを寄せるジャン=ルイは、美しいマリアに魅かれてゆく。そんな夫の変化に無頓着なシュザンヌは彼と顧客の未亡人との浮気を疑い、夫を部屋から追い出してしまう。こうしてその夜から、ジャン=ルイはメイドたちと同じ屋根裏部屋でひとり暮らしを始めるが…。

『屋根裏部屋のマリアたち』作品情報 | cinemacafe.net

名演小劇場で観てきました。

メイドたちとの関わり合いをとおして、自らの生き方を見直して軌道修正していこうと努力する男性の姿を描いた作品でしたが、とても楽しく鑑賞しました。ずっと前からすごい近くにあったのに、まったく興味を持っていなかった故に気付いていなかったこと。そのことに気付くのってほんとうにささいなことがきっかけだったりするのですが、そういう偶然や一瞬を切り取ってくれたすてきな作品でした。


と、こんなふうに観ているときはすごくおもしろくて、たとえばジャンの気持ちに共感を覚えたり行動力に感心しながら観ていたのですが、観終えてあらためて思い返すとそんなにいい話でもなかったのかなと思ったんですよね...。


どう表現すればいいのか分からないのですが、少し落ち着いて振り返ってみると結局は若いメイドに熱をあげちゃったおっさんの話のようにしか思えなくてそれがどうにも何となく嫌だなと思ったり。もちろんマリアに惹かれたことをきっかけに、ほかのメイドさんたちの住んでいる場所のひどい状況を知ったり、スペインという国がたどってきた歴史を理解するきっかけになったので、結果としてよかったとは思うんですよ。

さらに自分のいまの立場を含めた生き方そのものと向き合うこともできて、ちゃんと自分が本当に生きたいと思う生き方を見つけられたからそれはそれでよかったのでしょうが、でも観終えて時間が経てば経つほどどうにもわいてくる違和感をぬぐえなくて、「マリアに惚れただけじゃん...」といううがった見方から出てきた感想が残ってしまったのです。


時間をおいたらすごく好きになる作品というのはよくあるのですが、時間をおいたら嫌なところが見えてくる作品というのはあまりなかったので少し動揺しています。

おもしろかったのはまちがいないんですけどね...。

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