「ドラゴン・タトゥーの女」見たよ


ミカエルは、財界汚職事件を記事にして名誉棄損裁判で敗訴し休職中。そんなある日、スウェーデン有数の財閥ヴァンゲルの元会長からある依頼が舞い込む。その依頼の真の目的は40年前に忽然と姿を消した娘ハリエットの失踪事件の真相究明。なかなか手がかりが掴めないミカエルに、天才的な資料収集能力の持ち主・リスベットが紹介された。顔色は悪く無口で痩身、肩から背中にかけて龍の刺青(ドラゴン・タトゥー)が刻まれた彼女は、ハリエットの日記からロシア付近で起きた未解決連続猟奇殺人事件との関わりを調べるのだが…。

『ドラゴン・タトゥーの女』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮で鑑賞してきました。

原作は未読でスウェーデン版も未見の状態でしたので、変更点などはまったく分かりませんがたいへんたのしく鑑賞しました。冒頭の、リスベットの悲痛な叫びにも聞こえる「移民の歌」と、まるでリスベットの悪夢を具現化したような禍々しくて苦しさが伝わってくる映像で紡がれるオープニングがとにかくすばらしく、ここを観てわたしはもうこの作品の虜になってしまいました。


始まってわずか数分でこれほど惹きつけられたのは初めてです。
このオープニング超好き!


さて。
まず本作のストーリーパートですが、予告を観て想像していたよりもとてもシンプルなお話でして、難解な推理サスペンスのようなものを想像していたのでちょっと拍子抜けしてしまいました。ただ、その分かりやすさのおかげでリスベットやミカエルの表情やしぐさ、二人のやり取り等々に注意を余分に払えたと思います。


この作品の中でわたしがもっとも惹かれたのはリスベットというキャラクターすべてについてです。
ソーシャル・ネットワーク」ではザッカーバーグをばっさりと切って捨てるかわいい女の子エリカを演じていたルーニー・マーラが、今度はパンクスタイルに身を包んでみせたのですがこれがまたかわいげがないのにすごく気になるんですよ!


リスベットはいわゆるアスペルガーに類する発達障害を抱えていると思われるのですが、そのために現代の一般社会においては障害をもっている人という扱いを受けることになります。ところがこの作品を観ていれば分かるとおり、彼女に足りないのはあくまで一般的なコミュニケーション能力だけであって、知能や判断力、記憶力は常人をはるかに凌駕しているのです。つまり能力的な面だけみれば劣るところよりも優れているところの方が多いんですね。

いうなればRPGでステータスの割り振りを極端に偏らせてしまったようなものなのでしょうが、さまざまな能力は異様に高いのに行動や考え方は子どものようにまっすぐであるというアンバランスさ、いびつさに強烈に惹きつけられてしまいました。なんかすごいよねー。


そもそもリスベットの頭の良さを考えれば、我々一般人の頭の回転や記憶力の悪さの方がよほど脳に障害があると疑われそうな気もしますし、そう考えるとそんな優秀な人を普通のおっさんの保護観察の下に置いているという状況はどこか悪い冗談のようにも思えます。


マジョリティの平均的なスペックからずれていることが異常として扱われることはおかしいと思う一方で、でも心のどこかでそれに理解を示している自分に対して強烈なイライラを実感しました。


話が映画からずれちゃいましたが、158分の長尺さをまったく微塵も感じさせないすばらしい作品でした。
もう2回くらい観たいし、またリスベットに会いたい!





(お奨めエントリー)


公式サイトはこちら